なぜ、今、スマート・エイジングなのか?

日本は現在、超々高齢社会となっています。また、少子化の結果、長いスパンで総人口が減少するという、今までに経験したことのない時代に突入しています。私たちは、この困難な時代を乗り切るために、大きく三つの解決すべき課題が生じていると認識しています。

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一つ目は、個人の長寿化の課題です。衛生環境の向上、経済そして流通の発達に伴う栄養状態の向上、そして医療の発達により、私たちの寿命は延び続けてきました。その結果、社会の第一線を退いたあとに長い人生が待ち受けています。

高齢期の人生をいかに健やかに、豊かに過ごすか。そのためには、健康長寿システムを確立し、心身の健康を維持・向上し、生活の質を維持・向上できるようにしなくてはいけません。

二つ目は、人口の高齢化の課題です。総人口が減るなかで、相対的に高齢者の割合が増えていくわけですから、すべての高齢者がご隠居然として安穏に過ごすだけでは社会が立ちゆかなくなる可能性が大です。高齢者を貴重な社会的資源と考え、積極的な社会参加を促す社会システムの構築が急務です。

特に、将来を支える若者の人間観や社会観の形成にとって、核家族化のなかで失われてしまった世代間の交流や知恵や知識の伝達は非常に重要です。高齢者が若者と直接交流し、知恵や知識を伝える場を積極的に創生し持続可能型高度成熟社会を創生する必要があると考えています。

三つ目は、地域社会の過疎化の課題です。総人口が減るなかで、ある一定の経済活動水準を維持しようとするとき、一番たやすい方法は大都市部に人口と資本を集中させることになります。

実際、多くの地方自治体では、人口減によって地域の活力が失われています。この厳しい地域状況のなかから、人々が生きがいを持ちながら暮らしていける環境や仕組みを考え出さなければなりません。

これら三つの課題をどう解決し、この少子超高齢社会において、私たちが健やかで穏やかな生活を続けるために、具体的にどのような工夫をしたらいいのかを科学するために、東北大学加齢医学研究所では、2009年1月にスマート・エイジング国際共同研究センターを設立し、研究活動を本格始動させました。センターは、2017年4月にスマート・エイジング学際重点研究センターに改組されています。

スマート・エイジング学際重点研究センター

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