SAカレッジ22年度 コースⅠ 第12回月例会は、中川 敦寛 教授です!

プロセスはデザインするもの

SAカレッジ22年度 コースⅠ 第12回月例会は、 東北大学病院 産学連携室長、臨床研究推進センター バイオデザイン部門長、東北大学病院長特別補佐(企業アライアンス テクノロジー)、脳神経外科/高度救命救急センター、中川 敦寛 教授 「デザイン思考による医療関連ビジネス創出」です。

デザイン思考は人々のニーズを出発点とし、開発初期段階から技術、ビジネス成功の要件を含めた事業化の視点も検証しつつ、問題の解決とイノベーションを実現するアプローチです。東北大学病院では2014年より8年で50社、1400名の開発研究者を医療現場に受け入れ、デザイン思考を取り入れながら、解決すべき課題を探索してきました。東北大学病院ベッドサイドソリューションプログラムASUから得られた知見とデザイン思考を用いたイノベーション事例を紹介しながら、いかにして医療関連ビジネス創出につなげるかについてお話します。

プロジェクトについて

中川先生は様々なプロジェクトにかかわられています。一部紹介いたします。

デザイン思考に関する書籍について

先生からのデザイン思考に関する本の紹介が秀逸で、読書意欲を掻き立てられます。

  • 「バイオデザイン」(第1版) ステファノス・ゼニオス、ジョシュ・マコーワー、ポール・ヨック[編] 日本医療機器産業連合会、日本医工ものづくりコモンズ日本語版翻訳・監修 薬事日報社 2015年
    バイオデザインの教科書。読めば読むほど奥が深い。
  • 「リーダーシップの旅~見えないものを見る~」 野田智義、金井壽宏 光文社新書 2007年
    内なる声を聴き、ルビコン川を渡れ! 世界がまったく違って見えてくる。「不毛なる忙しさ」に陥っているすべての現代人へ。一歩を踏み出すきっかけとなる書。
  • 「組織変革のビジョン」 金井壽宏 光文社新書 2004年
    「道に迷ったときは、どんな古い地図でも役に立つ」「忙しいから絵が描けないのではなく、描けていないから忙しいだけだ」。本当に意味のある変革とは? 根本から考える。
  • 「君はゼロから何を生み出せるか」 ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ.ゼロ・トゥ・ワン NHK出版 2014年
    空飛ぶ車が欲しかったのに、手にしたのは140 文字だ。「もし本気で長期的な人類の発展を望むなら、ただの140 文字や“永遠の15 分”を超えた未来について考えなければならない。ZERO to ONE はシリコンバレーを教科書に、難題を克服してこれまで存在し得なかった偉大な物事を築きあげるための本だ」 by Peter Thiel
  • 「Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来」 サティア・ナデラ 日経BP社 2017年
    変革をテーマにしている。CEOであるナデラの心の中や、マイクロソフトの中で現在起きている変革、さらには、近い将来押し寄せる、革新的テクノロジーの波によって日常生活に起こる変革である。その時、私たちは、どう「リフレッシュ」ボタンを押せばいいのか。オーストリアの詩人、リルケの言葉は、ある真実を教えてくれる。行く手に待ち受けているものは私たちの中にあり、一人ひとりが現在取る進路によって決まる──。その進路決定に至る決断こそ、本書でサティア・ナデラが記そうとしたことである。
  • 「10%起業 1割の時間で成功をつかむ方法」 パトリック・マクギニス 日経BP 2016年
    もはや、一つの会社、一つの仕事だけに依存することはリスクだ。自分の時間を未来のために投資し、「10%起業家」になろう。今の会社をやめずに、夜や週末の時間を利用して、もう一つのキャリアを始める。そうして得られたスキルや人脈は、誰のものでもない、自分のためのものだ。リーマンショックですべてを失った著者が見つけた、「10%起業家」として生きる道を、豊富な事例で解説する。人生の時間という限られたリソースを、ただ「生きる」ために費やしてはダメだ。僕たちの命は、現在を「生きる」だけでなく、未来へ向かって「生きていく」ためにこそある。そう考えると、10%は「余り」ではない。むしろ10%のほうにこそ人生の本質がある。
  • 「メガトレンド」 ジョン・ネイスビッツ (日本語版は竹村健一訳、三笠書房 1983年)
    1980年代にアメリカの未来の大きな流れを予見した。現在読んでもその予見性の高さに感銘を受けるとともに、メガトレンドをどのようによむか考えさせられる。
  • 「ジャパン アズ ナンバーワン: アメリカへの教訓」 エズラ・ヴォーゲル (日本語版 広中和歌子・木本彰子訳 TBSブリタニカ、1979年)
    戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価している。日本人が日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけのひとつとなった。

ご研究について

中川 敦寛 先生のご専門は脳神経外傷、医療機器開発、制度設計です。先生の最近の主な研究内容について、科学研究費助成事業データベースサイトより一部ご紹介します。

複雑閉鎖空間中の爆風による生体内衝撃波伝播防止のための衝撃波工学・医学的検討

爆風脳損傷は、衝撃波を先行、かつ主成分とする爆風による脳損傷で、目に見えない外力によるため、機序、予防については解明されていない点が多い。東北大学学際衝撃波研究拠点は1970年以降世界的に拠点として衝撃波の医療応用はもちろん、さまざまな領域で衝撃波の学際研究を推進してきた。
本研究の目的は、第一に閉鎖空間内で爆風損傷の先行、かつ主要成分を占める衝撃波の体内伝播動態を明らかにすること、第二に衝撃波による外傷性脳損傷を防止する技術開発に向け基礎的知見を得ることである。具体的には閉鎖空間内の反射・干渉により生体内に伝播する衝撃波を空間構造と材質で損傷閾値以下に減衰することに関して非臨床(動物実験)概念実証を確立する。 本研究では、衝撃波工学の観点から模擬モデル実験と動物実験を行う。
2年目の本年は、昨年度東北大学流体科学研究所で実施してきた模擬モデル実験(単純閉鎖空間内の衝撃波伝播動態解析(高速度画像装置を用いた可視化、圧測定))および理論解析を継続するとともに、模擬モデル実験では、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波による生体内伝播衝撃波の減弱効果を材質、壁面計状の変化による効果を可視化、圧測定および理論解析で行うとともに、複雑閉鎖空間内の衝撃波伝播動態・模擬生体内衝撃波伝播動態解析(可視化、圧測定)に着手した。次年度理論解析も推進し、衝撃波の体内伝播動態の解明と外傷性脳損傷を防止手段の構築をすすめる。

浸潤病変の局所制御と術後機能温存を両立する微弱衝撃波パルスジェットメスの開発

本研究の目的は、申請者らが原理開発から臨床研究まで開発を進めたパルスジェットメスに微弱衝撃波を印加することで、内視鏡下に脳内浸潤病変境界部への薬剤深達が得られることを明らかにすることである。
本研究では、1. 浸潤病変部の物性値を物性工学的検討で測定、2. 微弱衝撃波印加後のパルスジェットの流体動態と組織内深達効果を流体工学、模擬モデルを用いた検討、組織学的検討で臨床的に有用性をもたらすことができる条件を同定、3.模擬モデルおよび動物モデルで内視鏡下手術用パルスジェットメスに微弱衝撃波を印加、照射し、従来の切開、剥離に加え局所病変制御効果を評価した。

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