SAカレッジ22年度 コースⅡ 第12回月例会は、薮上 信 教授です!

専門は、磁気や高周波技術を用いた計測・評価

SAカレッジ22年度 コースⅡ 第12回月例会は、 大学院医工学研究科 生体電磁エネルギー医工学分野、薮上 教授 「磁気工学と高周波技術のヘルスケアサービスへの応用」です。

薮上先生は高周波電磁材料の性能評価装置の開発に成功し、自らその事業化にも取り組んでいます。さらに、それらの磁気計測で培った技術を細菌やウイルスを検出する新しいバイオ計測へ展開すべく研究開発に取り組んでいます。

新しい磁性材料である磁性ナノ粒子とバクテリア、ウイルス等の微生物を簡易、手軽に評価し、IoT技術でその場でリアルタイムに評価できるIoT微生物磁気センサを開発し、人が集まるさまざまな場所やヘルスケアの現場で微生物検査の低コスト化、迅速化を実現すべく実証試験を進めています。

薮上先生が大切している技術開発のポリシーは、リモート、手軽、低コスト。資本力に劣る地域の中小企業とも積極的に連携し、技術開発やその普及に取り組んでいます。磁気センシング技術の医療への応用に関する最先端の技術を知る貴重な講義となっています。

研究テーマについて

薮上先生の研究テーマについて、一部紹介いたします。

  • 高感度磁界センサの開発および生体磁気信号の計測 (薮上・桑波田研究室HPより引用)
    心臓から発生する微弱磁界(心磁界)は地磁気の約100万分の1以下のとても微弱なものです。
    従来このような身体から出てくる磁界は一台数億円もする超伝導量子干渉素子(SQUID)で測定されていました。
    当研究室では世界で最も高感度な室温動作の薄膜センサを開発しました。 (中略)
    将来、この磁界センサを使って、心臓のどの位置に病気があるかわかるようになると考えられます。
    またこのセンサは安価なため一般の病院等へも普及することが期待されます。
  • ワイヤレス磁気マーカによるモーションキャプチャシステムの開発 (SCOPE第2回成果発表会 予稿集より引用)
    総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の採択課題。
    ワイヤレスLC共振型磁気マーカによる指先のモーションキャプチャシステムを開発し、これをコンピュータ等のインプットデバイスに応用することを目指す。
    ワイヤレス磁気マーカはインダクタンス素子とキャパシタンス素子のみから構成されており、電気的引き出し線をもたないワイヤレス構造であることと、内部にバッテリや変調回路等を搭載せず、きわめて簡易な構成である。
    このため生体表面や生体内部の高精度位置検出方法として応用が期待される。
    本プロジェクトではこのワイヤレス磁気マーカを5個制作して指先に貼付し、自然な状態での指の精密な動きをはじめて計測する。
    それぞれのマーカは異なる共振周波数にセットされるため、同時に複数個のマーカの位置検出が可能となる。

医工学研究科教員紹介:生体電磁エネルギー医工学・薮上信教授

医工学研究科のYouTubeで薮上先生が紹介されています。

磁性材料、誘電材料の評価受託およびコンサルタントのスタートアップ企業「Tohoku-TMIT」設立

近年、第5世代移動体通信システム(5G)や、もののインターネット(IoT)注1の急速な普及に伴い、磁気センサー、パワーデバイス、磁気メモリー、電波吸収体向けの磁性材料の開発が活発になっています。このような磁性材料や電磁材料に対する需要が高まる中、磁性体や誘電体の材料特性が製品の性能に直結するため、材料メーカーやデバイスメーカーでは、その評価技術が非常に重要であると認識されています。

しかし従来は磁性材料や電磁材料の高周波特性をインライン注2で評価することは困難でした。また、評価のために特殊な形状や加工等が必要となり、コスト、時間、手間、汎用性の上で課題がありました。

東北大学大学院医工学研究科兼大学院工学研究科の薮上 信(やぶかみ しん)教授と沖田和彦(おきた かずひこ)学術研究員は、同研究室で開発した新技術を用いた電磁材料の透磁率や誘電率の評価委託とプローブ販売を手がけるスタートアップ企業「Tohoku-TMIT株式会社」を2023年1月4日に設立しました。

同社の新技術によって従来の測定技術では困難であったインラインでの測定が可能となり、顧客の材料特性評価の手間を軽減し、効率的な評価を実施できると期待されます。(東北大学プレスリリースより)

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