SAカレッジ21年度 コースⅠ第7回月例会 参加者の声
鈴木 岩弓 総長特命教授・名誉教授「日本人の死生観—過去・現在・未来—」
10月13日、SAカレッジ21年度コースⅠ 第7回月例会開催されました。講師は、教養教育院 鈴木 岩弓(すずき いわゆみ)総長特命教授・名誉教授。講義テーマは「日本人の死生観—過去・現在・未来—」でした。
超高齢社会における看護・介護やシニアビジネスを行う上で、私たち日本人の「死生観」がどのようなものであるかの理解が不可欠です。「死生観」というのは、観念の問題であるため目で見ることができません。
本月例会では、観念に基づいて執り行われる行為、特に死者に対してなされる「葬送習俗」を次の構成で解説することで死生観のイメージを深めました。
- 現代日本の「死」の状況
- 「死者」とは誰か?
- 「死者」と「生者」の接点
- 死後の「死者」—「死者」への“想い”—
- 人称からみた「死者」の記憶
超高齢社会のビジネス常識として、絶対に知っておくべき内容となりました。
参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。
ご意見・ご感想(抜粋)
講義が参考になった理由は?
- 死生観、勉強になりました。イギリス滞在していた際に、ご老人が元気に歩いて出かけたり、カフェで老人仲間でお茶して楽しんでいるところをみていたので、なぜ日本人には楽しそうに生きている老人を街中でみかけないのだろう、と考えたことがあって、そこに死生観が関わっているのかもしれない、と思索できて楽しめました
- 超高齢社会を迎えた日本において、高齢者及び高齢者を取り巻く家族・関係者を対象としたビジネス・サービスを模索しており、現在の高齢者層の宗教・儀礼・習慣・文化的背景を知ることが出来て、大変参考になりました。死生観(生死観)に関する意識の変化や多様性に注目しつつ、今後は高齢者の心のケアをどのようにサポートするかが重要と感じました。
- 新しい知識を得る場となった
- 家族や親戚の葬儀、法事、お盆などには魂はどこにあるのかと考える事はありますが、日常生活においてはあまり考える事がなく、良い機会になりました。
- 今までは、身近なテーマであっても敢えて考えないようにしていたが、71歳になって科学的・歴史的・文化的に正面から考えさせて頂ける機会を頂いたから。
- 個人的な話になりますが、故郷(三重)の実家で一人暮らしをしていた老母(88)が要介護状態になり、この夏に私の方(兵庫)に呼び寄せ、近くの施設に入れたところでした。県をまたぐため、コロナ禍での移動規制やそれぞれの自治体の対応も異なり苦労しました。また、空き家となった実家の整理、その中でも(半畳を占める大きさの)仏壇の引っ越しにつき、私の代までは守れるものの、私の子の世代にまでは引き継げないと考えております。イエ亡き時代の到来を身をもって感じており、まさにタイムリーなお話でした。有難うございました。
- 日本人の死生観の変化から新たなビジネスモデルや高齢者が大切にするものへの傾向を掴むことができた。
- 死生観を円と直線で捉えることによる世の中的な影響はどのようなものになるか?(消費意識、経済行動など)など、普段考えたこともない視点をいただいて、グループワークでの意見交換も盛り上がって刺激をもらったため。とくに、弊社のような健康づくりをテーマにした企業のアプローチについて「こころのケア」というキーワードをいただき、これから取り組もうとしているコミュニティサービスに活かしていきたいと思いました。
- 時代ごとの死生観の変化を知ることが出来たため。
- 死については、ぼんやりとしか考えた事がありませんでした。そのため、今回の授業で多面的な死に対する考察は、非常に興味深いものでした。自分の死について、今までは「死んだら生ゴミ」くらいにしか思っていませんでしたので、もう少しきちんと向き合おうと思いました。
- 死生は文化であり、産業構造や価値観が影響している、との認識がそもそも無かったので、新たな気付きとなりました。また、死を語ることがタブーだった時代から、オープンに語られるようになった、という変化点も、世の中を捉えるポイントとして重要かと思います。死後を考えることから、どう生きるかを考えることにもつながる、というのは、人生100年時代において重要な背景だと思いますので、今後医療ヘルスケア領域で市場背景を考える時のために頭に入れておきたいと思います。
- 普段あまり考えない「死」というテーマでしたが、日本人の伝統と強く結びついていることがわかり、とても面白く拝聴することができました。生と死の定義は、地域との結びつきや個人の価値観など人が作る文化により変化していることを学びました。伝統的な円環的死生観から、直線的な死生観へと日本人の主流となる価値観が変化していることに起因して、終活が専門業者によりビジネス化されました。高齢者ほど死後の世界に関心が高いですが、若者も正直に言わないだけであり、幅広い年代が意識している事と理解できました。ニーズがかなり高い分野らしいので、長期的にビジネスできる分野であると理解できました。
- 少し前の時代まで死生観が今と全然違うことに驚かされました。
- 死生観を真剣に議論、考えたことがなかったので新鮮であり、人が決める文化であることを理解できた。
- 姥捨て山の伝説の由来、そして過去の日本の「死」に対する考え方は大変興味深かったです。鈴木先生の熱心にも非常に感動しました。
- 文化を前提としたビジネス展開について思慮していきたいと考えました。
- 死に対する考え方・捉え方の基本や、時代による変化について学ぶことができた。死の認識方法(医学的、科学的、哲学的)の違いや、死後の世界を信じるか?の変化、儀礼に対する考え方の変化が興味深い内容であった。
- 大変興味深く参加させて頂きました。死生観を深く考えた事が有りませんでした。しかし誰しもが必ず経験する事である事を認識致しました。 自身の死考える事から逆算して今をどう生きるのかを考える事の大切や多様性を学びました。
- 個人としては非常におもしろい内容で時間を忘れるほど集中して聞きました。一方、最後に先生もおっしゃっていましたが、お金に直結するお話ではないので、弊社の事業にどう結び付けるかはよく考える必要があると思いました。
- 年齢を重ねるほど死期は近づくはずで、「死」を意識する機会は自ずと増すと思います。スマートエイジングを考える上で「死」をどう意識するか・考えるか、は重要だなと思いました。
- 人が必ずたどり着く死という事柄に対する日本人の考え方が、産業やイエの影響を受けて、どのように変化してきたのかを知ることができ、現在から未来では何が求められていくのかが理解できたためです。
- 介護施設を運営する上では、死生観の変化は重要なポイントで、高齢者へのサービスを考えるうえでヒントになることが多いと思います。また、今回の講義でデンデラ野が進化した形が、介護施設のようにも感じ、環境は変わっていますが根本の考えや文化は変わっていないようにも思いました。
- 講義内でも触れられていた通り「死」については必ず通る人生のイベントでありながら、死生観についてはタブー視されていたり、どのような考え方があるかの比較対象も少なく、言語化が難しいものと感じていました。一方で弊社は介護事業者であり、ご利用者さまの終の棲家として死に立ち会う機会も多く、死生観について考えることも少なくありません。死生観が文化(宗教や生活様式、経済的な要因)から作られるもの、という内容に非常に説得力があり、腹落ちした次第です。
- 少し前まで間引きなどの新生児を死亡させていたことが起きていたことが知れたり、丙午で産むのを調整したりということが自分が生まれる少し前にも行われていたことに驚きました。
- これまで意識して考えたことのなかったテーマでしたが、人生の最晩年のクオリティを考えることは、スマートエイジングを考えていくうえでも重要な視座だと思えたから。
- 日本に根付く死生観とその変化を知ることができ、今後のビジネスを考える上での種を拾えた気がしました。
- ビジネスの話ではなかったが、日本人の死生観の形成過程などを知ることができ、興味が持てた。
- 滅多に聞くことのない「死生観」という題材であったため、大変面白かったです。
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