認知症ゼロ目標に研究 川島隆太氏/日本経済新聞に掲載
日本経済新聞東北版 5月10日
今年4月に創設した「スマート・エイジング学際重点研究センター」は認知症ゼロを目指し研究を進めています。高齢化が進み、認知症の予防や対策が大きな課題となっている中、 同センターに関する記事が日本経済新聞東北版に掲載されました。
初代センター長である川島隆太教授(加齢医学研究所所長兼任)がインタビューに答えています。
脳科学の観点から豊かな老後の実現を目指す
記事抜粋
1.センターの役割、創設の背景
- 東北は高齢化が進んでいるが、東日本大震災後、特に仮設住宅で孤立する高齢者を中心に認知症と予備軍の確率が高いと加齢研の調査で分かった。
- 健全な社会システムを維持するには、認知症を撲滅しなければならないという強い危機感を持っている。認知症ゼロ社会のため、何ができるか示したい。
2.センターでの研究内容
- 遺伝子から体質を調べて、認知症のリスクを把握する。遺伝子はスイッチのようなもので、オンになると病気になる。スイッチを押すのは食生活など環境要因だが、どのような組み合わせで病気になるか分かっていない。東北大のバイオバンク、メディカル・メガバンクの遺伝子などのデータから方程式を導きたい。
- 将来は遺伝子や環境から認知症を防ぐための個別の対処法を提供したい。例えばある人の遺伝子を調べ、脳トレーニングを勧めたり食事を改善したりと、その人にあったアドバイスで認知症リスクを減らす。
3.目標
- 10年後をめどにシステムを実現し、認知症患者を9割減らしたい。社会に広げるのは企業の役割になるだろう。食品企業と組んでサプリメントを開発したり、スーパーで生活習慣の助言をしたりと、多様な取り組みを想定している。
4.スマート・エイジングの考え方を提唱
- 高齢化が進む東北だからこそ必要な考えだ。年を取ると知恵が増えて役割が大きくなるはずだが、運用する能力が衰えて役割が奪われる。能力が落ちなければ、社会の一員として活躍できる。高齢者が活躍すれば、都会から若い人が知恵を借りに来て新産業が生まれるかもしれない。誰もが加齢は良いことだと思える社会が実現すれば、高齢者の多い東北はユートピアと言えるようになるだろう。
タグ:スマート・エイジング, スマート・エイジング学際重点研究センター, 川島隆太, 産学連携, 認知症
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