SAカレッジ22年度 コースⅡ第10回月例会は、中澤 徹 教授です!

日本を代表する緑内障の研究者

SAカレッジ22年度 コースⅡ第10回月例会は、神経・感覚器病態学講座 眼科学分野 主任教授、未来型医療創成センター(INGEM)副センター長、COI東北拠点 副研究統括、東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)副センタ―長、中澤 徹 教授 「眼を活用した健康ビジネス 〜AI読影×創薬〜」です。

本講義では、眼をめぐる包括的な健康ビジネスについて検討します。
中澤先生は「自分にしてほしい最善の医療を低コストで」をテーマに、緑内障の個別化医療の確立を目指しています。また、分野横断的な共同研究を通じて、最先端の技術を眼科領域の研究に取り入れています。さらに、産学連携で検査デバイスの開発、AIを用いた診断アルゴリズムの開発、サプリメントの開発なども行っています。

今回は、失明原因第1位の眼疾患である緑内障について解説するとともに、その診療の進歩に貢献する研究や技術開発について紹介します。眼科領域における最新のトピックスをまとめ、そこに見られる社会的課題やニーズから、ビジネス展開の可能性について議論します。

最近のご研究について

中澤先生の最近の研究内容について一部ご紹介します。

  • 正常眼圧緑内障の新たな原因発症メカニズムの解明 ―エピジェネティックスと緑内障―
    国立病院機構東京医療センター臨床研究センター分子細胞生物学研究部(岩田 岳 部長、潘 洋 研究員、須賀 晶子 主任研究員)のチームは、東海大学医学部付属八王子病院眼科(木村 至 教授)、木村眼科クリニック(木村 肇二郎 院長)、関東中央病院(新家 眞 名誉院長)、山梨大学医学部眼科学教室(柏木 賢治 教授)、東京大学医学部眼科学教室(相原 一 教授)、東北大学大学院医学系研究科眼科学分野(中澤 徹 教授)のチームと共同で、正常眼圧緑内障の新しい原因遺伝子METTL23の発見とその発症メカニズムを解明しました。本研究では、この遺伝子が家族性正常眼圧緑内障と一般的な正常眼圧緑内障の両方に関連することが明らかにされました。研究チームは、患者iPS細胞やノックインマウスを使った実験によって、ヒストンメチル化転移酵素をコードするMETTL23遺伝子の変異によって、細胞核内のヌクレオソームを構成するヒストンのメチル化に影響し、エピジェネティックスの異常による正常眼圧緑内障を発見しました。ゲノムDNAやヒストンのメチル化は遺伝子発現を制御しており、これを総称してエピジェネティックスと呼んでいます。エピジェネティックスと緑内障との関連は長い間推測されてきましたが、今回初めてその直接的な証拠が得られました。
  • 緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリを開発
    日本人が失明する原因の第1位は緑内障です。自覚症状が無いために知らぬ間に進行し、見つかった時には手遅れのことがよくあります。もし早期に発見できれば、進行を抑える手当てが可能になります。
    国立大学法人東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野のチーム(仙台市青葉区星陵町1-1 教授 中澤 徹、特任助手 矢花 武史)と株式会社仙台放送(仙台市青葉区上杉5-8-33 代表取締役社長 稲木 甲二)は、「緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリ(METEOR BLASTER)」を共同開発し、2022年7月11日に日本における特許を取得しました。
    このゲームアプリは、「宇宙空間を舞台としたシューティング系ゲーム」です。画面中央の隕石を破壊する等の簡単な操作に約5分間取り組むだけで、利用者の「視野」を簡易判定できるもので、これまで難しいとされてきた緑内障の早期発見にも寄与するものです。
  • 手のひらサイズの医療画像診断機器へ向けて スマートフォンに実装可能なAIを用いた軽量眼科画像解析モデルの開発
    深層学習(ディープラーニング)は人工知能(AI)の仕組みの1つで、画面に映った人や物の検出や、その形状を抽出する目的で、近年急速にその技術が発展してきました。東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野の中澤徹教授らのグループは、眼科検査画像に対する新たな人工知能(AI)のモデルを開発しました。この新しいAIモデルでは、疾患の特徴をAIが学習するために必要なデータの数も少なくて済むのが特徴で、モデルの容量を軽減するのに寄与しているチャネルナローイング注1の手法は、形状の抽出だけでなく、疾患の診断予測でも良好な結果を得ることができました。従来のモデルと比較して軽量で、優れた緑内障の検出精度が得られており、スマートフォンなど小型機器での社会実装が期待されます。
    本研究成果は、2022年5月20日Scientific Reports誌(電子版)に掲載されました。

JST「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」は、大学等が中心となって未来のあるべき社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラムであります。
東北大学からは、中澤先生がプロジェクトリーダーをされている「『みえる』からはじまる、人のつながりと自己実現を支えるエンパワーメント社会共創拠点(共創分野・本格型)」と合わせて3件採択されています。
『10~20年後の未来のありたい社会像は、「次世代の子供たちに誇れる、誰もが人生のどのステージでも、共に暮らし、働き、遊べることで、主体的に生き生きと暮らせる社会」である。我々は世界でも類のない「みえる」からはじまるエンパワーメントを特徴とした学際的なアプローチにより、グローバルな社会課題を世界に先駆けて解決しながら社会変革を推進していく。それにより、「みえる」を起点に様々な人の課題も解決する。』(プロジェクト概要より)

未来社会健康デザイン拠点について

産学連携機構 イノベーション戦略推進センターに、2021年4月設立された「未来社会健康デザイン拠点」は、大学、企業、市民の方々など多様なメンバーが力を合わせて、未来の皆が幸せになれるような社会を描きながら、ワクワクするようなプロジェクトを生み出していくことを目的としてつくられた拠点です。中澤先生はこちらの副拠点長をされています。

未来社会健康デザイン拠点の機能と概要

  1. 未来ビジョンの策定機能
  2. マルチステークホルダー(領域横断型)研究開発機能
  3. 地域社会・国際社会との連携機能
  4. 大学/社会を変える人材育成機能
  5. 拠点発展のための持続的なプラットフォーム維持

未来社会健康デザイン拠点の立ち上げ
COI東北拠点からアセットを継承し、発展させていく”未来社会健康デザイン拠点”の立ち上げをYouTubeにて紹介しています。

 

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