SAC東京6期 第1回産学共創フォーラム 事務局レポート

SAC東京第1回産学共創フォーラムを開催しました。目的は、東北大学における研究最前線を参加企業の皆様が一堂に学び合い、大学との産学共創活動のきっかけ作りと参加企業同士の連携、提携のきっかけを作ることです。

始めに、主催者である東北大学 理事・副学長、東北大学ナレッジキャスト株式会社 青木孝文取締役より「社会価値創造を東北大学と共に」と題し、ポストコロナ時代の新しい未来に向けた大変革への挑戦、社会価値の創造を目的としたコネクテッドユニバーシティ戦略が紹介されました。

コネクテッドユニバーシティ戦略

  • サイバー×リアル融合 DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速的推進
  • スピーディーでアジャイルな戦略的経営への転換
  • ステークホルダーエンゲージメント(共創)の重視

東北大学青葉山新キャンパスの約4万㎡の敷地に産官学が結集し、大学とともに社会価値創造を行う共創の場であるサイエンスパーク型研究開発拠点の整備が進んでいます。

星稜キャンパスでは、ライフサイエンス分野におけるオープンイノベーション拠点を創設し、国内最大級のアンダーワンルーフ開発体制を確立しています。加齢医学研究所東北メディカル・メガバンク機構など、東北大学が共創のパートナとして選ばれるメリットが数多く紹介されました。

【第一部】東北大学研究最前線

講義1:西條芳文教授
「東北大学の先端医工学技術で診る皮膚のエイジング」

 大学院医工学研究課 副研究科長、加齢医学研究所 非臨床試験推進センター、生体計測研究分野の西條芳文教授は、医用イメージング、超音波医学、循環器病学が専門です。

世界のスキンケア産業は、2019年の131億ドルから2025年には480億ドルの市場と言われ、三大エイジングとして、脳、髪、皮膚が挙げられます。

皮膚のエイジング観察では、表面から見た色やしわ、皮膚を構成するコラーゲン・エラスチンの変容、皮膚の微小循環を測ります。皮膚の微小循環計測では、皮膚の老廃物の排出、酸素や栄養の吸収を測定することができます。

皮膚水分量測定皮膚粘弾性計測など、皮膚のエイジング評価方法のいくつかは東北大学の医工学技術に基づいているとの説明がありました。

東北大学は超音波医学による世界初の心臓断層像を1962年に発表しています。現在では母胎内の胎児を三次元超音波画像で可視化できますが、超音波の周波数をより高くすることで顕微鏡のような詳細な画像が得られることが分かっています。超音波顕微鏡による化粧品の効果判定では、皮膚の中に化粧品が浸透する様子が確認でき、その効果が理解出来ました。

対象物にレーザー光を照射すると吸収率に比例した熱が発生し、熱ひずみにより膨張した対象物から超音波(光音響信号)が発生します。この光音響イメージングにより皮膚の微小血管観察が可能になり、微小血管内を流れる赤血球が確認できるまでに研究が進んでいます。


講義2:杉田典大准教授
「室内に置かれた通信デバイス電波による“ウェアレス”活動量計」


大学院工学研究科 技術社会システム専攻、スマート・エイジング学際重点研究センター 人間福祉工学研究部門の杉田典大准教授は、バーチャルリアリティの医療応用やモバイル遠隔医療システムの開発、非接触生体情報計測などの生体医工学が専門です。

まず、非接触生体情報計測として計測を意識させない生体モニタリング=ウェアレスの造語の説明がありました。映像から情報を取ることで、計測を意識させない手法です。

身体活動の強度を表す単位にMETsという単位があり、寝るは1.0METsなどがMETs表で示されています。

身体活動量[METs・時]=身体活動強度[METs]×時間[時間]

遅めの歩行を2.0METs、早めの歩行や階段の使用を3.0METsとすると、18~64歳の健康づくりのための基準は3[METs・時]以上の活動を週23[METs・時]以上、65歳以上では、週に週10[METs・時]以上を目標にすると良いとされています。

また、身体活動=運動+生活活動(多くは室内における活動)で表しますが、生活活動にウェアラブル端末の使用の継続は難しいです。

そこで、室内における身体活動量の非接触なモニタリング手法としてWi-Fi信号のRSSI(受信電波強度)を用いた活動認識システムが紹介されました。

ここでの課題は、室内に複数のWi-Fiが無いと計測の精度が向上しないこと、また、部屋の状況が変わると精度が下がることです。

そこで、複数送信端末の代わりにIoT機器のBluetooth信号を利用し、被験者に模した自動走行ロボットを用いて静状態から動状態の歩行、立位、座位、臥位といった様々な学習データを収集しました。立位から座位の動作のように、高さの変化による難しい計測に更なる技術が求められます。

今後の展開として、以下3点が説明されました。

  • 動作パターン制御 → 人間らしい動きの分析と再現
  • 環境電波を用いたパッシブ法 → 送信デバイスが不要になる
  • お掃除ロボット化? → 環境変化に対する自動リモデリング

(以上で講義終了)

〔まとめ〕

村田特任教授より講義のまとめが示されました。

  1. 西條先生の講義では、皮膚のエイジング評価方法を学びました。そのいくつかは、東北大学の医工学技術が活用されていることは誇らしいことです。超音波の活用による皮膚の血流の微小循環観察は、下川先生の超音波を活用した狭心症の治療や、認知症の治療への応用と共通のアプローチを感じました。血流の微小循環の定量的な観察によって、化粧品への効用の評価に活用が期待されます。
  2. 杉田先生の講義では、ウェアレスという分かりやすい造語で非接触での計測が紹介されました。吉澤先生の「魔法の鏡」は非接触で健康状態を測れるため、コロナ禍で非常に引き合いが増えています。高齢者施設を例にすると、杉田先生の研究は見守り系のニーズや、ウェアレスで共通ルームにおける高齢者の活動計測に活用の期待が持てます。

 【第二部】参加企業6社による商品・サービス紹介ピッチ

  • クラブツーリズム株式会社 霜田正明様
    テーマ:コミュニティサービス事業への挑戦「新・クラブ1000構想」
  • 第一工業製薬株式会社 大西克典様
    テーマ:冬虫夏草の認知症予防効果について
  • 株式会社ハナヤマ 坂本忠之様
    テーマ:ハナヤマのパズル、ゲーム
  • 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト 小澤圭子様
    テーマ:シニアビジネスにモバイルをプラス
  • 株式会社日立ソリューションズ東日本 鈴木亮様
    テーマ:地域創生活動のご紹介
  • 富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社 藤森洋一様
    テーマ:「らくらくコミュニティ」×「今日のクイズ」の1年間の取組み

異業種企業6社による商品・サービス紹介ピッチが行われました。各社の最新の商品・サービス動向とその勘所が把握できる極めて効率的な情報入手機会となりました。

また、発表企業にとっては自社商品の開発アピールだけでなく、異業種交流を呼びかける場となりました。

【第三部】グループトーク&発表・質疑

 第二部のピッチ内容に関する協業や産学連携の可能性などについて、グループに分かれてディスカッションを行いました。

コラボレーションのアイデアの幅が広がり、他社の事業開発の観点を知ることができたグループトークが展開されました。講師やピッチ発表者への質問では、自社の考え方と異なるアイデアが聞けた方も多かったようです。今後の協業や産学連携への期待が膨らみました。

〔総括〕

村田特任教授より第二部、第三部を中心に総括が示されました。

 6社の各9分のプレゼン、その後の30分のディスカッションでも、様々な気付きやコラボレーションへのヒントが生まれ、次回への大きなきっかけになると説明がありました。

また、ピッチ企業1社1社に対して、ピッチ内容に対するビジネス的な観点のアドバイスと、参加企業間とのコラボレーションの具体的な提案がアドバイスされました。

参加者からも「なるほど」といった表情を垣間見ることができ、これからの参加企業同士の動向が楽しみです。

文責:SAC東京事務局

 

 

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