SAC東京6期コースⅡ第1回月例会 事務局レポート

脳科学を応用して新産業を創生する②

「脳科学を応用して新産業を創生する②」をテーマとした加齢医学研究所所長、スマート・エイジング学際重点研究センター長である川島隆太教授のオンライン講義で第6期がスタートしました。

新型コロナの影響により仙台からオンラインで川島教授に講義を行っていただきました。コロナの第2波は冬に必ず訪れるので、各企業その対策が必要であると語られました。

なんでも脳波とよばないで!

脳活動の計測は脳の中の電気的活動を直接計測する脳電図(EEG)、いわゆる脳波計測が歴史的に古く、その名残で「脳計測と言えば脳波」というイメージが独り歩きしたようです。現在は脳の中の血流量の信号変化を計測するMRI装置がより活用され、更にウエアラブルかつ小型化された近赤外光計測技術で計測するNIRS装置の説明がありました。㈱NeUのNIRS装置は既に民間企業で広く活用されており、多くの事例を紹介されました。

ブレインマッピング

脳科学という学問の究極のゴールは、脳を白紙の地図に例えたブレインマッピングで表し、心が脳の中にどのような形で表現されているかを見つけ出すことであると熱く語られました。

デコーディング

脳のどの領域が好き嫌いの判別に関わるかの実験を行い、脳の心の働きをデコードすることで人が今どういう気持ちかを脳に聞くという興味深い実験の説明がありました。

ニューロ・マーケティング

ブレインマッピングとデコーディングを合わせてビジネスに応用した㈱NeUの実例が3つ紹介されました。中でも商品POPを実店舗に置いて、潜在顧客が一番興味をひくと判断した時に、対象商品の売上データが飛躍的に上がったという事例は印象的でした。

コミュニケーションの質の定量化

複数人の脳活動の同時計測を行うとコミュニケーションの質が定量化できるのではないかという仮説をもとに、小学校の授業と柏崎刈羽原発で実験が行われました。この結果から、コミュニケーションの質が高いほど同期率が高まるという結果が判明しました。

マインドフルネス瞑想

ある特定のものに注意を向ける集中瞑想は、加齢に伴う認知機能低下の予防や記憶機能の向上効果があると言われています。また、集中瞑想のなかには雑念を排除して「今」に集中するマインドフルネス瞑想があります。しかし瞑想実施中に、自分がどのような瞑想状態であるかを知ることは容易ではありません。そこで㈱NeUは小型NIRSとアプリを連動し、自身の瞑想がどのような状態であったか測れる仕組みを作り社会実装しました。

バーチャルリアリティによる疑似運動

強度の有酸素運動はアルツハイマーの予防に繋がるが高齢者は簡単にはできない。何かで代替できないか川島教授が研究を重ねた結果、バーチャルリアリティで没入感覚に陥ると体は動いていないのに中強度まで心拍数が上がり、その後認知機能検査をすると成績も上り脳活動が活発になるという実験結果を得ました。「いずれカウチポテトしながら痩せることができるぞ」と川島教授から頼もしいコメントを聞くことができました。

高齢者安全運転寿命促進を目指して

運転に必要な認知・判断・操作のうち脳トレを活用して認知と判断の機能を上げれば運転操作も向上するという仮説をもとに、テレビのリモコンを活用した脳トレが紹介されました。脳トレ後の効果検証を行うと運転能力が格段に伸びたことも実証され、現在では様々な自治体でも取り入れられています。

グループトークによる質疑(質疑のみ記載)

Q1.数息観の即時効果実証研究のストループ効果の変化量は絶対的な指標であるか?
Q2.写真を見ている時の前頭前野の活動は性別によって違いがあるか?
Q3.TVを使った安全運転脳トレをアクティブブレイン脳トレに移植できるか?
Q4.VR画像に音楽を加えることで瞑想効果が生まれるか?
Q5.そもそもVRの研究を始めたきっかけは何か?
Q6.ニューロ・マーケティングの時間軸の幅はどのくらいまで伸ばせるか?
Q7.脳を冷やして血流を低下させると癒しの感覚は得られるか?
Q8.ニューロ・マーケティングの好き嫌いは介護施設の外覧にも活用できるか?
Q9.1コミュニケーション時の脳活動を可視化する際、ゆらぎ以外にあるか?
Q10.Default Mode Networkの活動計測を車のわき見運転防止に活かせるか?
Q11.日常生活で瞑想を起こさせるような研究事例はあるか?
Q12.コミュニケーション時の脳活動で同期のレベルの指標はどのくらいか?
Q13.VRで運動したと錯覚することでどのくらいまでの効果が得られるか?
Q14.安全運転能力向上脳トレの理想的な継続期間はどのくらいか?
Q15.脳の血流と心電図、脈波に関連はあるのか?

総括

村田特任教授よりポイント4点が示されました。

  1. 脳機能イメージング装置は色々ありそれぞれに強み弱みがあります。なかでも日本人が開発したNIRS装置の強みは小型軽量かつ生活空間で使えることであり、㈱NeUの商品化で応用できるチャンスがまだあると考えられます。
  2. 脳活動の揺らぎ計測によるコミュニケーションの質を測るシーズはまだ商品としてブレイクスルーしていないので、是非民間企業のニーズで深めてほしいです。
  3. コロナ社会により人間はコミュニケーションが図れないとストレスを感じるが、脳活動を可視化して瞑想することによりストレスマネージメントの効果が得られる点もビジネスチャンスに繋がると考えます。
  4. 今回のVR研究事例は、健常者ではなく体を動かせない人向けの応用として可能性がある。また、高齢者安全運転能力向上脳トレも皆様の提案で更に社会実装が期待できます。

以上

 

 

 

(文責:SAC東京事務局)

 

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