SAカレッジ22年度 コースⅢ第10回月例会は、富田 博秋 教授です!

災害時・緊急時メンタルヘルスのエキスパート

SAカレッジ22年度 コースⅢ第10回月例会は、医学系研究科精神神経学分野、東北大学病院精神科科長、大学院医学系研究科 災害精神医学分野、東北メディカル・メガバンク機構、災害科学国際研究所 災害精神医学分野、 富田 博秋 教授 「COVID-19流行下のメンタルヘルスの実態と対策」です。

新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)は感染症への恐怖や不安、就労・就学や人交流を含む日常生活への影響と事態の進展予測が難しいことから人々に強いストレスをもたらしています。多くの人が抑うつ・不眠をはじめとするストレス関連症状に平常よりも悩まされていることが報告されています。

COVID-19パンデミックのような緊急事態への対応策について、精神保健対応の側面、学術面、産官学連携の面からの取り組みの可能性をお話します。
一般にはあまり知られていない医療従事者や介護スタッフのメンタルへルスの分析など、コロナ禍や災害時において知るべき知見が盛りだくさんです。

最近のご研究について

富田先生の最近の研究成果についてご紹介します。

  • 統合失調症の病態に男女差はあるか? 脳内トランスクリプトーム解析に基づく疾患病態の性差の解明
    統合失調症の臨床症状に男女差があることが指摘されていますが、男女差が生じるメカニズムについては未だ不明な点が多く残っています。東北大学大学院医学系研究科の兪志前講師、富田博秋教授らのグループは、健常者および統合失調症患者の背外側前頭前野トランスクリプトームの大規模データを解析しました。その結果、統合失調症を罹患した女性では、男性より多くの遺伝子発現が変動していることを見出しました。これらの変動した遺伝子群が機能別のカテゴリーに属する頻度を解析したところ、γ-アミノ酪酸(GABA) 抑制性ニューロンの神経伝達、および、脳内細胞のエネルギー産生等に関わるミトコンドリア機能に関する遺伝子群の発現が有意に高いことが確認されました。さらに、母体免疫負荷による統合失調症のモデル動物注9を用い、ヒトとマウスに共通で変動していたミトコンドリア機能に関わるACSBG1の有意なDNA高メチル化、および発現レベルの減少を確認しました。本研究結果は統合失調症の女性患者における病態の生物学的基盤を説明する可能性があり、性差に着目することで統合失調症の病態解明が進む可能性を示唆しました。本研究成果は、2022年11月22日付でMolecular Nのurobiologyのオンライン版で公開されました。本研究は、京都大学・長﨑正朗教授、千葉大学・橋本健二教授、熊本大学・岩本和也教授、東北大学・植野和子研究員・舟山亮准教授・中山啓子教授・木下健吾教授との共同研究です。(以上、東北大学HPより引用)
  • 妊娠中血中代謝物による産後うつ症状の予測 -健やかな母子家庭環境を維持するために-
    産後うつ病では、妊娠から出産に至る生活習慣、環境、心身状態の変化に関連した様々な代謝産物の変動が生じていることが想定されます。東北大学大学院医学系研究科の兪 志前講師、富田 博秋教授らのグループは、東北大学東北メディカル・メガバンク機構 (ToMMo)が実施している三世代コホート調査で得られた健常者および産後うつ症状を呈する母親の妊娠中後期、および産後の血漿中の代謝産物をガスクロマトグラフィー質量分析で網羅的に解析しました。
    その結果、産後うつ症状を示す母親は、その兆候のない母親と比較して、妊娠中後期から産後1ヶ月時点までに血漿中の「クエン酸回路」に関連する代謝産物のプロファイルが異なっていました。さらに、機械学習を用いて、妊娠中後期における血漿中の代謝産物のプロファイルから産後うつ症状の予測を行ったところ、シトシンの減少およびエリトルロースの増加が産後うつ症状を予測するリスク因子として同定されました。
    本研究結果成果より、妊娠中後期の代謝異常が産後うつ病の発症と関連する可能性が示唆されました。この知見は、妊産婦の個体差に応じた産後うつ病の予防やケアを行う個別化予防に繋がることが期待されます。また今後、各々の代謝物と精神状態との関係性を明らかにすることで、産後うつ病の病態の理解に繋げられる可能性があります。
    本研究成果は、2022年11月24日付でiScienceのオンライン版で公開されました。(以上東北メディカル・メガバンク機構サイトより引用)
  • 脳内炎症の抑制が恐怖記憶に伴う行動異常を改善する ~心的外傷後ストレス障害の治療法開発の可能性~
    東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)の富田博秋教授(メンタルヘルスケア推進室長、本務:災害科学国際研究所)と災害科学国際研究所の兪志前助教らのグループは、心的外傷後ストレス障害 (PTSD)のモデルマウスで認められる恐怖体験の記憶が持続することに伴う行動異常に伴って、脳内ミクログリア細胞*1において炎症に関わるサイトカインというタンパク質の1つであるTNFα*2の産生が増加し、行動異常の改善とともに産生が減少することを発見しました。さらに、ミノサイクリ ン*3の投与によるTNFα抑制が恐怖記憶による行動異常の改善を促進することが確認されました。 これまでに、ストレスにより脳内ミクログリア細胞のTNFα産生が増加することや、PTSD 患者で血清中の TNFαレベルが高いことは報告されていましたが、今回、脳内ミクログリア細胞の TNFα産生が恐怖記憶の保持に重要な役割を果たしていることがわかり、ミクログリア機能が関係する脳内炎症とこころの不調が形成されるメカニズムとの関係が示唆されました。 本研究は文部科学省新学術領域研究(領域提案型)の研究課題「マイクロエンドフェノタイプによる精神病態学の創出」に基づいて東京農業大学の喜田聡教授等との共同で行われた研究の成果です。 脳内炎症の精神疾患病態への関与メカニズムを示した本研究成果は、PTSDの治療法開発に結び付くことが期待されるだけでなく、平成28年度からのAMEDの脳科学研究戦略推進プログラム「臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服(融合脳)」による助成でToMMo のコホート事業に基づくうつ病の個別化医療技術開発を目指す研究開発課題「栄養・生活習慣・炎症に着目したうつ病の発症要因解明と個別化医療技術開発」にも反映されることが期待されます。 本研究成果は、2016 年 9 月に精神神経免疫学領域で最も被引用数の多い学術雑誌Brain Behavior and Immunity 電子版に掲載されました。(以上東北メディカル・メガバンク機構サイトより引用)

寄稿文等

  • COVID-19パンデミック下で問い直される災害時のメンタルヘルス対策~COVID-19感染拡大を精神科医の視点で考える
    精神・神経医学界を支援するための医療従事者向けの医学情報ウェブ「Progress in Mind Japan Resource Center」は、ルンドベック・ジャパンが運営されているサイトです。こちらに富田先生のインタビューが掲載されています。
  • 精神疾患、その原因を追い求めて
    東北メディカル・メガバンク(ToMMo) Webサイトの読み物コンテンツ「未知のなかば」は、ToMMoのメンバーの人物像を伝えるインタビューコーナーになります。この連載の第6回に富田教授が紹介されています。
    どうして人は憂うつな気持ちになってしまうのか、精神疾患とは何なのか、その原因を追い求め、研究の道に入られた富田先生は、震災をきっかけに地域の方々の健康を調査していく方向へ。今は、この被災者の方々との関わりが、精神疾患の原因解明につながると考えていらっしゃいます。また、先生のお名前の由来や生い立ち、この道に入ったきっかけなどについても書かれています。
  • 不安への対処法
    東北大学病院広報誌「hesso(へっそ)」32号に「不安への対処法」を寄稿されています。不安について三つの対処法を挙げられています。
  • 心のケアと新型コロナウイルス感染症
    仙台放送のヘルスケア情報サイト「ドクターサーチみやぎ」に富田教授のインタビュー動画があります。新型コロナウイルスの心への影響や、心の健康悪化のシグナル、心の健康についてのアドバイスなどなどお話されています。

 

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