SAカレッジ22年度 コースⅢ第9回月例会は、水藤 寛 教授です!

応用数学の立場から、医学者との連携を推進

SAカレッジ22年度 コースⅢ第9回月例会は、東北大学 材料科学高等研究所 数学連携 教授 (副所長)、理化学研究所 数理創造プログラム 客員主管研究員、水藤 寛 教授「様々な現象に対する数理モデルの構築と実装」です。

数理モデルとはコンピューターや人工知能(AI)の処理能力向上に伴い自然や社会のありようを数式で表現して研究や開発などに応用することです。新型コロナ感染症が世界に広まると共に、この言葉を耳にする機会が増えました。感染メカニズムの分析への応用が期待されているからです。

一方、「数理モデル」と言っても様々なものがあります。例えば、『その実体はいったい何なのか、 どうやって作るのか、 どのようにしてその解を見いだすのか、 何ができて何ができないのか』。これらはまだ充分に理解されているとは言えません。
本月例会では、異なる現象に対する数理モデルをいくつか取り上げ、その根拠や意味を紹介いただきます。その上で、使う際、気を付けなければならない点を解説していただきます。

東北大学・材料科学高等研究所 (WPI-AIMR) 数学連携グループ

水藤先生の研究について、東北大学・材料科学高等研究所 (WPI-AIMR) 数学連携グループ 研究HPに掲載されています。(以下抜粋)

  1. 幅広い科学技術分野と数理科学の協働
  2. 種々の連成問題に関する研究
  3. 数値シミュレーションや可視化手法、機械学習に関する研究

文部科学大臣表彰科学技術賞受賞!

水藤先生は、2019年に科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞されました。この賞は日本の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った人物やグループに贈られるもので、「数学を用いた大動脈病態メカニズムの解明に関する研究」が評価されての受賞となります。

現象数理学三村賞受賞!

水藤先生は、2018年に「現象数理学三村賞」を受賞されています。「現象数理学三村賞」は、数理モデルの構築・解析を通して自然や社会に現れるさまざまな現象に潜む謎を解き明かし、自然や社会を深く理解する枠組みとしての数理的視点の重要性を広く世間に伝える活動で顕著な業績をあげている研究者を表彰し、現象数理学の更なる発展を図ることを目的としています。(先端数理科学インスティチュートHP「現象数理学三村賞」より抜粋)

受賞理由
「現代社会が抱える様々な問題に果敢に立ち向かい、本質を捉えた数理モデルを構築してその解析から得られた知見を問題解決に生かすことは、現象数理学の重要な使命の一つである。特に近年は、社会的問題のみならず、医療現場のように個別性の高い問題に直面する場面においても、現象数理学を用いたアプローチに大きな期待が寄せられるようになりつつある。水藤氏は、早くから現場の医療と数理モデリングが融合する新領域の開拓に率先して取り組んでおり、関係者から大きな信頼を勝ち得ている。

医療機器や医薬や治療技術の急速な進歩によって現代医療が高度化する一方で、超高齢化社会を迎えて医療現場は数多くの困難に直面しており、その対応を支援する新しい手法が一層強く求められるようになった。流体現象のシミュレーションとその可視化を得意とする水藤寛氏は、当初はマクロ流体現象が主題となる環境問題の研究に従事していたが、血液流に代表される人体内部の流体問題へと次第に軸足を移し、医療現場との連携を深めるようになった。臨床医療の現場で長年にわたって蓄積された熟練医の経験知の言語化・アルゴリズム化に取り組むとともに、形状の個人差の大きい大動脈内の拍動流という複雑流体のふるまいをシミュレートしコンピュータ上で可視化して、静止画像では判断が難しい大動脈瘤の病態メカニズムの理解に大きく貢献した。同氏のモデリングの手法は、患者一人ひとりに日々向き合っている現場の医師からも高い評価を受けている。さらにアウトリーチ活動も活発に展開し、医学関連学会でのシンポジウム開催や高校生への数理科学の浸透など、未来につながる連携の輪を広げる努力も着実に進めている。

以上のように、医師と共に病態メカニズムを理解し方策を探るという水藤寛氏の研究スタイルとその優れた成果は称賛に値するものである。水藤寛氏は高い理念に基づいて新たな分野を開拓し、実践と理論の両面から現象数理学の発展に大きく貢献している。」

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