騒音性難聴に関連する遺伝子を発見 東北大学

酸化ストレス応答機構の活性化は騒音性難聴予防を可能にする

blog160120東北大学加齢医学研究所遺伝子発現制御分野の本橋ほづみ教授と防衛医科大学校の松尾洋孝講師の研究グループは、生体の酸化ストレス応答を担う制御タンパク質NRF2の活性が、騒音性難聴のなりやすさに関連することを発見しました。NRF2の活性化は、強大音による酸化ストレス障害から内耳を保護し、聴力の低下を防ぐことを明らかにしました。

そして、NRF2の量が少なめになるNRF2遺伝子の一塩基多型を持つ人は、騒音性難聴になりやすい傾向があることを見出しました。NRF2の活性を増強させることで、騒音性難聴の予防が可能になると期待されます。本研究成果は、1月18日に英国の学術誌Scientific Reportsに掲載されました。

意義

本研究成果から、NRF2 が騒音性難聴の発症とその予防に重要であることがわかりました。NRF2 の量が少なめになる NRF2 遺伝子の一塩基多型をもつ人は、強大音に曝される前に予め NRF2 活性化剤で NRF2 の働きを強めておくことで騒音性難聴を予防できる可能性があると考えられます。本研究のように、遺伝子改変動物モデルにおいて見出された疾病に関する知見が、ヒトの一塩基多型を対象とした遺伝子解析でも確認されることは稀であることからも、本研究成果は非常に重要であると考えられます。

今回の研究では騒音性難聴を取り上げましたが、もう一つの主要な感音難聴である加齢性難聴(老人性難聴)でも、内耳の酸化ストレスがその原因であるとされています。したがって、NRF2 の活性化により内耳の抗酸化機能を高めることは加齢性難聴の軽減にもつながると期待されます。これからの超高齢社会においては、健康で社会とつながりを持ち続ける高齢者を増やすことが重要な課題です。そうした中で、聴力の維持は高齢者が社会的存在であり続けるためにとても重要な要素です。本研究成果による NRF2 の内耳保護作用の解明と感音難聴の予防への応用は、活力ある高齢社会に向けて、“一億総活躍社会”の実現への貢献が期待されます。

本橋ほづみ教授はSAC東京第2期コースⅠで本件についてもお話しになる予定です。

詳細(東北大学加齢医学研究所プレスリリース)

 

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