SAC東京5期コースⅡ第3回月例会 事務局レポート

カメラによる健康センシング〜身体映像からの生体情報抽出〜

講師はサイバーサイエンスセンターの吉澤誠教授。テーマは「カメラによる健康センシング〜身体映像からの生体情報抽出〜」です。

「遠隔医療ではショボイので、サイバー医療と呼んでいる」と、参加者を笑いで引き付ける教授です。震災を機に変化してきた医療環境の説明から講義が始まりました。

少子高齢化と医療の問題を解決するためにはICT(情報通信技術)の活用が必要なことを過去・現在・未来を比較しながら理解していきました。入浴中に倒れる人が交通事故死より多いといいます。ウェアラブルセンサーを装着して入浴はしません。非接触センサー(ビデオカメラ)によって管理できればどうだろうと、生活の場での活用を考えます。

魔法の鏡

映像脈波から得られる指標を早朝と夜の飲酒後で比較してみました。今後は、スマホの身体映像をアップロードするだけで自律神経指標を返すクラウドサービスも期待できるそうです。ただし、他人の情報を解析できてしまうため、管理方法が問題となります。

社会実装についての近況

様々な企業の開発状況を知ることで講義内容が数倍身近に感じられました。今後は多様な応用システムが開発されるでしょう。疾患との関連性を追求し、サイバー医療で健康社会を作ることが近い将来に感じられます。

ビデオカメラによる遠隔非接触的自律神経・血圧情報モニタリング

吉澤教授がモデルとなり、手元のカメラで実際に計測してみました。続いて参加者も計測です。計測中は30秒ほど動いてはいけません。光の変化にも弱いカメラ事情です。この条件では認知症の高齢者などに計測協力を仰ぐことは難しそうですが、これらの課題は工夫次第のように感じたのは私だけではないと思います。

パネルトーク

月例会3回に1回はパネリストを選出してのパネルトークです。パネリストからの質問を中心に講師コメントを引き出していきました。

Q1.相関係数をあげて、今の血圧計と同等に機能アップできますか?
Q2.肌の色に拘らずに計測できますか?
Q3.感情分析手法の今後の展望を教えて
Q4.魔法の鏡の35秒の計測時間は短くできないの?
Q5.接触型センサーは広まっているが、映像で血液成分がわかるようになるか?
Q6.人工知能への展開について教えて
Q7.人が人を管理することが機械に置き換わるのですか?
Q8.80〜90歳位の高齢者の日々の体調管理に使えるのか?
Q9.画素数がアップすると情報としてはより良いのか?
Q10.車中での測定可能なものはないですか?

たくさんの情報を提供してくれる教授です。産学連携に期待している想いを感じました。

まとめ

うつ病も多い時代において、脈波に関連する自律神経指標が得られることに期待ができます。次はビジネス上の工夫が必要です。これが民間企業のチャンスでしょうと、村田特任教授がまとめました。

ビジネスモデルが大切です。これも大学ではなく民間企業の役目でしょう。是非ともこのチャンスを活かし、2年後位に成果報告をいただけると嬉しいですと、参加企業へのエールで月例会は終了しました。

以上

(文責:SAC東京事務局)

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