SAC東京4期コースⅠ第5回月例会 事務局レポート
触覚・触感技術による高付加価値製品の創出
コースⅠ第5回月例会は大学院医工学研究科医工学専攻・大学院工学研究科ロボティクス専攻の田中真美教授によるテーマ「触覚・触感技術によるに高付加価値製品の創出」の講義です。
触覚とは?
皮膚を通して感じる圧力、暑さ、寒さ、痛みなどの機械的刺激のことです。相手から触られることで始まる情報のやりとりであり、知りたい情報によって触り方が変わります。
指先の指紋の下に自立神経末端、パチニ小体、メルケル盤、マイスナー小体というセンサーがあり、それぞれ触覚の種類、反応刺激などが異なります。
ロボットの研究開発によってロボットハンドやフィンガが十分滑らかな動きが可能となってきましたが「匠の手」の代替えとなる開発は難しい領域です。
研究事例から
「布」の計測は肌触り、着心地を変え、「毛髪」は健常毛、損傷毛を見極めシャンプーのトリートメント効果を向上させます。
田中教授の多くの商品開発に関わり、さらにスマートフォンのタッチパネル、医療への応用など多義に渡った産学連携が紹介されました。
感性ワード
風合い評価や快適と不快の区別にも定量的評価が必要になります。
ざらざら、ちくちく、かさかさ、ぬめっとしない、じっとり、ウェットな感じなど感性ワードの科学的証明のために各物理特性に応じた測定器が必要となります。
医療への応用
前立腺癌・肥大症は触診によって発見率が上がります。しかし、触診は人間の指先感覚であり曖昧で客観性に乏しい診察方法です。そこで「匠の手(熟練)」を客観的に評価ができる指装着型能動センサが開発されました。
触診以外にも、医師のトレーニングへの活用も有効です。
触動作を含む触覚・触感メカニズムの解明と体系化が少子高齢社会における高付加価値製品を生み出す、そのエビデンスが産学連携事例から理解できた田中教授の講義でした。
グループトーク後の質疑
Q1.メーカーと共同研究する場合の期間と研究費はどのくらいか?
Q2.毛髪研究の経緯と目的、企業側のメリットはどうなったか?
Q3.圧電センサーは普段はどこで使われているか?
Q4.加齢による感度の変化はあるのか?
Q5.触覚受容器の感度の変化によって困ることは何か?
Q6.官能評価の個人差はあるか?
Q7.熟練者と素人差の信頼できるデータはあるのか?
Q8.肩こりへの活用はできそうか?
Q9.触覚受容器は他のセンサーと比べてどう異なるか?
Q10.口腔内の触覚はどうか?
Q11.食品の研究事例はあるか?
Q12.足つぼなど触診でもっと健康がわかるようになるか?
Q13.認知症への感覚刺激と触覚の関係はどうか?
Q14.リハビリへの活用のヒントを教えて欲しい。
Q15.どのような布の需要があるか?
Q16.触覚のコントロールは可能か?
Q17.一つの機械で測定ができないのはなぜか?
総括
触覚・触感の高付加価値製品によってメリットを享受できる分野がたくさんあります。さらに加齢に伴う体の変化の測定ができることによって新たな製品やサービス開発の可能性が広がります。
ハイテクによるハイタッチの実現が、人生100年時代に必要なスマート・エイジング・ビジネスへ導きます。
以上
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(文責:SAC東京事務局)
タグ:スマート・エイジング, 医工学研究, 田中真美, 触感, 触覚
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