SAカレッジ21年度 コースⅢ 第11回月例会 参加者の声
⾚池 孝章 教授「新興再興感染症と呼気先制医療」
2022年2月24日、SAカレッジ21年度コースⅢ第11回月例会開催されました。講師は、東北大学大学院医学系研究科 副研究科長、環境医学分野 教授、日本細菌学会理事長 ⾚池 孝章(あかいけ たかあき)教授。講義テーマは「新興再興感染症と呼気先制医療」でした。
呼気オミックスは、質量分析装置を用いた呼気エアロゾルのオミックス解析であり、先生はミトコンドリアの硫黄呼吸の代謝機構に関わるオミックス研究に取組まれています。
硫黄は自然環境に普遍的に存在し、酸素が生物界に出現する以前から生命進化に貢献しています。しかしながら、生体内の硫黄代謝系については不明な点が多くありました。先生の研究チームは、解析を進めるなかで硫黄がミトコンドリアにおいてエネルギー代謝を営むことを見出しました。この研究結果は英国科学誌「Nature Communications」にも掲載されました。(参考:東北大学 2017年 | プレスリリース・研究成果 | 世界初:哺乳類における「硫黄呼吸」を発見 – 酸素に依存しないエネルギー代謝のメカニズムを解明 –)
現在、この様な革新的な硫黄研究を「超硫黄オミックス」と呼んで、その未来型医療への応用展開と社会実装に向けた先端医療技術の開発を進めています。例えば、呼気エアロゾルを用いた硫黄代謝解析・呼気オミックスによる非接触・無侵襲生体情報モニタリング法を確立しつつあります。さらに、呼気オミックスによる先制医療をヒューマンエアローム事業として東北大学から導出する方向で検討しています。
本月例会では未来型呼気医療の開発の現状を紹介することで、ポストコロナ時代の新しい医療のかたちを俯瞰していきました。島津製作所と呼気オミックス開発事業を展開している赤池先生の貴重な講義は、非常に興味深いものでありました。
参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。
ご意見・ご感想(抜粋)
講義が参考になった理由は?
- 呼気オミックスの前提となる硫黄によるエネルギー代謝という考え方が存在することを知ることが出来ました。
- 今まで、硫黄は体にとって害を与えると思っていましたが、硫黄が貴重な役割をしている事が解った為。
- 硫黄の働きについて注目されてることも画期的なのでしょうが、「呼気を利用してその方の体調を把握することが可能になる」など、本当に信じられないような情報でした。また、新型コロナや今後の感染症の陽性判定や、陰性証明が即時に可能となれば、職場のローテーションにも多いに役立つものと思います。改めて、科学の力を感じました。貴重なお話ありがとうございました。
- 呼気オミックスの医療や健康管理への応用の可能性が大きいことが良く理解できたこと。
- 既存保険事業およびヘルスケア関連サービスとの親和性の観点。
- 硫黄という普段意識することのない内容について知ることができたので。
- 硫黄の効果がここまであると思っておりませんでした。特に硫黄呼吸という言葉やこの作用機序に特に興味をもちました。またコロナウイルスのパートで呼気にもウイルスの個体があるというところには非常に驚きました。エアロゾルだけではなく呼気にも気をつけないといけないというところが今回衝撃でした。
- イオウがエネルギー代謝など人体内で大きな役割を果たしていることを知り、大変有意義でした。
- 人間の健康に硫黄というものが貢献できる点、またコロナなどの呼気測定が可能な点。
- 硫黄代謝については、内容が難しく理解不足な点もあったが、体内での硫黄代謝が健康や寿命に影響を与えることが分かった。また、関連する研究で、コロナウィルスの検出やその他病気の罹病判定等今後の医療の親展に大きく貢献する研究と理解することができました。
- 最先端のライフサイエンスの可能性を知れたから。
- 硫黄が生物の生存に重要な役割を果たしていることは全く知らなかったので大変興味深かったです。ヒューマンエアローム事業に関しては非常に可能性を感じました。
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