SAカレッジ21年度 コースⅠ第9回月例会 参加者の声
松宮 一道 教授「実験心理学で人間の行動を理解する」
12月8日、SAカレッジ21年度コースⅠ 第9回月例会開催されました。講師は、大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 認知情報学分野 松宮 一道(まつみや かずみち)教授。講義テーマは「実験心理学で人間の行動を理解する」でした。
本講義では、人間の行動を調べるための実験心理学的手法の概要についてと、その手法を使うことで明らかになってきた身体認知について解説していただきました。
現在注目を集めている身体認知研究の歴史的経緯に触れつつ、最先端の研究までを以下の4つのテーマに分けて紹介していただきました。
- 行動の基礎となる知覚の計測手法
- 身体認知に関する錯覚
- 身体認知の障害
- 身体認知の脳内処理過程
ポイントは、私たちが普段の生活で意識することのない「心の中の身体」の存在です。
- なぜ、加齢によって転倒が増えるのか?
- なぜ、リハビリテーションの効果が持続しないのか?
「心の中の身体」と「物理的な身体」の関係を紐解くさまざまな実験例を紹介しながら、人間行動の基礎にある仕組みを考察していきました。
参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。
ご意見・ご感想(抜粋)
講義が参考になった理由は?
- 心理物理学という分野において『物理的身体』と『心の中の身体』というものが存在すること。この特に『心の中の身体』に対して『物理的身体』とのギャップで様々な症例や障害、または錯覚が生じるという点は勉強となりました。
- 「心の中の身体」という概念を初めて聞きました。自分の中のイメージと実際の身体の一致度のズレを科学的に捉えることで、高齢者の行動を活発にし、将来的な医療費削減などにつながること感じました。
- 高齢者などの周辺領域をスタディする中で、心の身体という概念とその重要性、および心の身体を構成する重要な観点は①自分がしている自覚(運動主体感)②自分のものという自覚(身体所有感)であることを学ぶことができ、知見が深まりました。
- 心の中の身体と実際のバランスが崩れることによって廃用症候群に繋がったり、認知症のきっかけになると思われることから、そういった部分への対処を考えるきっかけになりました。
- 現在の担当業務(シニアコミュニティサービス等のデータ分析)には即座に取り入れることができるものではない。ただし、シニア向けコミュニティサービスの向上に関して役に立てる可能性はあると考えるため。
- 大変わかりやすくためになりました。
- 転倒予防には、「ズレ」を認識させることも必要であるという点など、大変勉強になりました。
- これまで加齢による運動機能の低下は肉体面(骨格筋)の衰えによるものであると考えておりましたが、今回の講義を拝聴して精神面にも原因があることを始めて知ることができました。
- 心の中の身体には、運動主体感と身体所有感があり、運動主体感が運動能力向上に関係。
- 私たちには、物理的な身体の他に、心の中の身体がある。心の中の身体が壊れた場合におこる様々な事象とその治療方法など大変興味深い内容の講義を聴講できたため。
- 自分が全く知らない分野の学問だったため、新しい知識を得ることができ大変楽しいご講義でした。高齢者の事故の原因など、メカニズムの部分から知ることができて大変参考になりました。
- 以前はアメリカでマッサージの勉強をしまして、幻肢痛のことを学びましたが、実際体験した患者と会ったことがありませんでした。幻肢を他の足と腕と同様にマッサージすれば良いと教わりましたが、その理由についてあまり深く説明されず、今回の講義でその要因とセラピー等を学ぶことができました。
- 心理物理学という新しい概念とリハビリへの応用面など、非常に理解が深まりました。一方で市場活動へどのように応用できるかについてはまだ未知数と感じました。
- 心の中の身体という概念は非常に興味深く感じました。高齢者の方の転倒や事故を減らす為のアプローチとしての参考にさせて頂きます。
- 「心の中の身体」という概念が新鮮に感じ、しかし錯覚やリハビリで起こる現象に対する説明として納得感があった。
- 弊社は高齢者関係のビジネスを行っているため、高齢者が経験している問題について詳しく分かることが重要だと感じています。悩みがわからないと解決も出来ないため、このようなセミナーを受講することも必要になります。
- 「心の中の身体」、「物理的な身体」という概念に非常に納得感があり、特に高齢化社会の今知っておきべきことと感じました。シニアのニーズを捉える上でも大切なことだと感じました。
- 心の中の身体、という概念が非常に面白かった。VRとリハビリの相性、その科学的根拠が語られて、非常に有意義だった。
- 行動心理学という新たな分野での知識を得た
- こころの中における身体、というふだんは意識したことのない領域の知見を、さまざまな実験映像を通して教えていただけたこと。とくに「運動能力の向上には、身体所有感ではなく運動主体感が影響している」という知見が参考になりました。また、アバターやVRなどの普及は、人の意識や肉体においてどのような影響があるのかについて、個人的に興味を持ちました。
- 考え方がリハビリなどへの適用ができそうなところ
- 実証心理学でVR効果が高いこと理解できた
- 事業とは直結しないが、興味深い内容だったため。
- 心の中の身体認知という枠組みで考えたことがなかったです。
- 心の中の身体、物理的な身体の両方が整合することが重要で、更には心の中のイメージが物理的なところまで影響を与えるということに気付きがありました。
- サービス付き高齢者住宅向けのサービスを考えるうえで参考になったため。リハビリの際に主体的に向けるという点を実現できれば他社との差別化にもつながると同時に利用者の方にも効果的なサービスを提供できると考えた。
- 先生のご研究が、心身障碍者を含む様々な方々に希望を与え社会貢献に繋がるとの期待が持てたから。
- シニア層を対象としたヘルスケアの課題解決やサービスを模索しております。今回の内容は、特に身体機能の老化への介入として運動機能向上プログラム(リハビリ等)への活用が出来ると感じ、期待感を持っております。
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