SAカレッジ21年度 コースⅢ第4回月例会 参加者の声

中谷 友樹 教授「COVID-19流行の時空間推移と人の動き」

7月28日、SAカレッジ21年度 第4回月例会開催されました。

講師は、環境科学研究科 中谷 友樹(なかや ともき)教授。講義テーマは「COVID-19流行の時空間推移と人の動き」でした。

感染症を含む健康問題の解決には古くから地図が活用されてきました。地図は現在にあってはデジタル化されGIS(地理情報システム)と呼ばれる情報ツール上で運用されます。このシステムはCOVID-19に対し、どのように活用され、何を明らかにしたのでしょうか。

本講義では、まず感染の発生にみられる時空間的なパターンに着目し、大都市での流行の持続性に着目しました。またCOVID-19の流行に関して社会的に注目を集めたものが、人の動きの地理情報(人流データ)です。人の移動が感染を引き起こす接触と関連する一方で、各種の移動制限(入国制限、移動自粛要請など)が流行の抑制手段として実施されています。

これらにより身体活動の不足や精神的健康の悪化など健康に関する別の問題が懸念されるようになりました。こうした経験を経て、人の動き地理情報の観点から健康な都市をデザインする論点も議論、ウィズコロナ/ポストコロナの都市づくりを考える絶好の機会となりました。

参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。

ご意見・ご感想(抜粋)

講義が参考になった理由は?

  • オープンデータの活用事例を日本の現状について、理解できて役に立ちました。あとは、単純に面白い研究だと感じました。
  • ヘルスケアを採り入れたまちづくりには以前から興味関心があったが、健康には人流との兼ね合いが当然のことながらとても大きく関係することを先生が示してくださった様々な視点での測定手法等で再認識できた。
  • どのようなデータをどのように得るか、それをどのように料理して提供するか。弊社はソフトウェアを生業としており、常々深く考えることです。行政に近くてもこのレベルか、と残念に思うと同時に、このレベルだということはまだまだ当社の食いどころもたくさんある!と思えた次第です。
  • 「空間疫学」という研究分野があり、感染症の拡散を時空間でとらえることは、大変興味を惹かれました。また、生活環境が、その人の健康を左右するという話は、納得感もあり、より深めてみたいと思いました。
  • あまり知らない分野だったので、新鮮な気持ちで聴講できました。空間疫学自体の基礎が知れたのはもちろん有意義なのですが、VGIというものがこんなに活用できるというのがとても印象的でした。
  • GISに時間軸での推移を付記する考え方が新鮮に思えました。
  • 空間疫学という言葉を初めて知りました。人の動きと感染症の流行拡大の関係性は理屈で理解できますがそれを可視化することで非常にわかりやすく、また注意喚起も行えるようになるのではないかと思います。ただ、まだまだ進んでいないということで今後に期待したいと思います。また、生活環境と健康リスクにはとても興味があります。どういった環境、街では認知症の患者が多いのか?以前調べたことがありますが、東北の市町村では胃がん患者が非常に多い→下水道の整備が遅れている(ことが原因かも)など健康と環境についても多く学びたいと思いました。
  • 空間疫学自体が初めての分野でしたので、新しい知識として大変興味深く受講できました。1900年代も今と同じような地理情報を集計していたことに驚きました。GSIによって大変な進歩を遂げているにもかかわらず、行政の資料統一や機密体質のために技術が生かされない現状にショックをうけました。Walkability、コンパクトシティについても興味深い内容で、自身の今後の住環境につ考える機会にもなりました。
  • VGIを収集・活用のうえウィルス感染リスクを天気予報のように効果的に伝えるリスク予測や住むだけで健康になる都市開発などの構想は以前からあるが、いずれも課題の多さ・エビデンスの少なさから実現までの道のりが遠く、新規事業開発に役立つ講義ではなかった。ただ、コンパクトシティは健康視点でなくとも持続可能社会の実現に向けては不可欠(いずれの都市も今後インフラ老朽化が進み地方都市コンパクト化・集約しなければ成り立たないため)であり、いずれ来る都市開発に向けていかに健康増進の要素を盛り込むかについての頭の体操にはなったと思う。
  • 人流の抑制をすると感染者が減るという具体的根拠があり、弊社も感染症対策商品を販売している製薬メーカーとして、情報啓蒙をしていきます。また都心から郊外に広がっているという根拠がわかりやすく、都心小売り店に対してのあらたな営業トークにつながりました。
  • 未知の、情報を学習できた為。
  • とてもわかりやすい講義でした。空間疫学という学問があることを知らなかったので大変興味深くお話を伺うことができました。
  • ニュースでも、韓国のみならず、各国の感染対策が報道されていましたが、実際感染者行動履歴マップには、やはり抵抗感があります(まさに国民性だと感じました)。健康の地域的な格差についても、非常に興味深く、一駅違うだけで、10歳も寿命が異なるというのは、とても衝撃的でした。コロナ蔓延により、国民の運動不足が懸念されていますが、同時に人々の健康に対する意識も高まったのでは、と思います。弊社としても、お客様だけでなく社員のQOL向上も課題としています。本日の講義は、改めて自分自身のこれからの生活を考える、良いきっかけとなりました。
  • 現在取り組みしている事業とは関係無いが、今後(弊社問わず)ビジネスチャンスになりそうな内容だったので。
  • アメリカに住んでいたことがありますので、常々、肥満大国の原因は、車社会だと思っていました。GISによるWalkabilityスコアは、日本の地方では重要だと思います。
  • 都市作りがどのように住民に影響を与えるかということが学べて、興味深かった。
  • これからの感染症が常在する社会でのまちづくりについて、考える良い学びの機会となったことです。
  • GISデータの活用がCOVID-19感染拡大防止に有用であることを実感するとともに、日本の制度等によりそれが進まない実情を語っていただき、とても有益な講義でした。
  • GIS(地理情報システム)が様々なエビデンスとして活用できるという点は改めて勉強になった。また、日本という国の国民性や法的観点でこのGIS技術活用の他国との差(例えば韓国)はメリデメもあるが今後の検討課題であるとも感じた。

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