SAC東京4期コースⅡ第7回月例会 事務局レポート

「人間の心と行動の不思議 ~その裏側を脳機能イメージングでひも解く 」をテーマに杉浦元亮教授の登壇です。

「僕は脳の働きから人間を理解したいと思ってこの世界へ入りました。その理解を社会に役立てたいのです」と、参加者たちを人間脳科学へ導いてくれました。

 

認知プロセスで考える

脳の働きから人間を理解するには見える形にすることが大切です。挨拶という行動を頭の中の模式図で理解してみました。何気ない日々の行動ですが、認知プロセスで考えると自分の脳が愛おしくなってきます。

脳機能イメージング

脳は他の部位に比べてエネルギーを消費するために血液がたくさん必要です。このため、血流量の増加を測ることでその部位の活動が分かるのです。fMRIが有効な理由に納得して頷く参加者たちでした。

杉浦教授の基礎研究

自己特異的脳反応は脳領域で身体的自己、対人関係的自己、社会的自己の3つに分類が可能です。自己認知できる動物は人間とチンパンジー、オランウータンのみだそうです。

脳科学の裏話

ヒト環境適応モデルの話では、自分の行動と環境の反応が脳内スキーマで示されます。現在の脳科学では表の世界(前頭前野、低次皮質、海馬、扁桃体、報酬系など)がクローズアップされていますが、人間脳科学を研究する杉浦教授たちには裏の世界が面白いのだそうです。

まとめ

心と行動の不思議の裏をひも解く
・認知プロセスの可視化
・実験+脳機能イメージング

対人行動の不思議:他者反応の脳内スキーマ
・話しかけるということ
・リアルVS.バーチャル(英語vs.日本語)

社会的意思決定の不思議:社会的価値の脳内スキーマ
・職業の面白さvs.収入
・自分の「市場価値」

身体運動の不思議:知覚の脳内スキーマ
・実際の使用状況で学習した外国語語彙
・死の恐怖で活動低下

アイスブレイク

最も高次な話でしたと評しながら村田特任教授はアイスブレイクを始めました。

講義の理解を深めながら、研究で解明されたことをいかにビジネスにつなげるかと展開していくこの時間は好評です。た社会と健康との関係、地域共生社会のつくりかた。ここからどうするか?日本人として大きな課題を示されました。

グループからの質問と講師のコメント

グループからの質問に、杉浦教授は嬉しそうにコメントしていきます。

Q1.五感は認知プロセスにどう関わるか?
Q2.身体的自己、対人関係的自己、社会的自己は成長や老いに関わるのか?
Q3.認知プロセスと認知症との関係は?
Q4.商品を訴えるには商品名連呼よりストーリーが良いのか?
Q5.面白さと収入の活動領域と行動のリンクについて教えて
Q6.絡み合った認知プロセスについて
Q7.犬は死を恐れないの?なぜ人間は死を恐れるの?
Q8.脳の活動を測ったビジネス事例は?
Q9.話かけの認知プロセスを取り除くと話し易くなるのか?
Q10.死の恐怖をコントロールすることで死に向き合えるようになるの?
Q11.先生がやりたいと思う研究は?
Q12.感動を測れるのか?
Q13.死をビジネスにするには?
Q14.人間とAIの脳の違いは?
Q15.事故のアイデンティティとゲノムとのアプローチは?

講義のポイントを確認することで、理解と質問したいことが深まって行く参加者たちです。「そういうことか」と、講義中の自分の解釈を正せる時間にもなっているそうです。

総括

シニアビジネスでは、中高年が喜ぶことを追求してきました。シニアビジネスの秘訣は人間の理解です。

この人間のもつ社会性を脳活動の観点から研究中なのが杉浦先生です。見えない人間の心を追求するのです。と、村田特任教授は今日の講義の位置付けを振り返りました。

高齢になるとボランティアをやりたくなります。仮説はありますが、脳科学的には理由は分かっていません。これが分かると楽しくボランティアできるようになりそうです。

人生100年時代です。仕事以外のオプションでどうすればHAPPYに元気に生きていけるかにつながるのです。

直ぐにビジネス化はなくとも、3年後、5年後をみて研究を役立てて欲しいと願って月例会は終了しました。

以上

(文責:SAC東京事務局)

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