SAカレッジ21年度 コースⅡ第8回月例会 参加者の声
坂井信之 教授「消費者はどのようにしておいしさを感じているのか?」
11月10日、SAカレッジ21年度コースⅡ 第8回月例会開催されました。講師は、大学院文学研究科心理学研究室 多感覚情報統合認知システム研究分野 坂井 信之(さかい のぶゆき)教授。講義テーマは「消費者はどのようにしておいしさを感じているのか?」でした。
「おいしい食品」という商品を開発しても、消費者がそのように受け取ってくれるとは限りません。商品提供側の意図と異なる受け取り方をされたが予想以上に売れてしまった、だが、原因がよくわからない、という経験はありませんか?
今回は、これらの見込み違いについて、心理学や脳科学の観点から解説いただきました。
結論は「人はおいしさを舌で味わっているわけではない」「食品自体においしさが含まれているのではない」ということでしたが、消費者は商品の何に注目して購入を決定するのかも考察していきました。どのようにその商品を評価するのか。さらに、その商品に対する印象をどのように形成し、次の商品購入の基礎情報とするのか、などについても説明いただきました。
今講義で得た知識は、食品に限らず、日用品やサービス、宣伝広告やマーケティング戦略の計画立案と、幅広い適用が可能でしょう。
参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。
ご意見・ご感想(抜粋)
講義が参考になった理由は?
- 味覚、美味しさについて感じる仕組みから学ぶことができて、大変興味深く思いました。舌で感じるものと、脳で感じるもののギャップが新たな気付きです。健康を考える際に食事や栄養は切り離せないので、今回学んだことは本質をついた事業立案をする際に活用したいと思います。
- 介護事業を営む中で、食事満足度を上げる事に苦労しています。今回の講義内で、生きる為に欲しているものや、食歴や脳の記憶が美味しさを感じさせるとのお話は大変参考になりました。有難うございました。
- 味覚についてまとまったお話をお伺いできたため。五感の一つと思っていましたが、総合的な感覚ということがよく理解できました。
- 今回は、講義をしていただきましてありがとうございました。今回の内容は、味覚のような私自身が直感で理解できる内容であったため、とても理解しやすかったです。また、味覚などの感覚を表現することに留意しなければならないと知ることができ、役に立つと感じました。アンケートの設問などを作る際は、「苦味」と「苦手な味」が関係づいてしまっていることや、世代によって感覚に違いがあることなどを気を付けながら質問事項を考える必要があると感じました。
- 根拠の説明が非常に詳しく、納得できた
- 消費者がおいしさを感じているのは、嗅覚が大部分であり味覚はそれほどではないということ、またノスタルジーや性格によってもこだわりがあったりと消費者行動がわかり勉強になりました。
- 味覚が視覚や嗅覚の影響を受けるという話は以前に聞いたことがありましたが、聴覚や胎児の内から影響を受けるという話は初めて知りました。また舌地図がない、ワイングラスの違いはない、という話にはとても驚きました。
- 人間の味覚は曖昧であり、工夫次第でコントロールできる可能性を知ることが出来ました。
- モノ中心ではなく、ヒト中心に考える必要がわかったので。代替肉等に関するご意見も参考になりました。
- おいしさの感じ方は、味覚に加えて、視覚、嗅覚が大きな要因を占めていること、経験・信念に訴え変えることで、おいしさが変わる事実は大きな発見でした。モノ中心からヒト中心にどう仕掛けていくかを考える良い機会になりました。
- 味覚は、他の感覚(視覚、嗅覚、聴覚)や記憶が大きく影響していることから、脳への直接的な働きかけによって味覚障害で苦しんでいる人の助けや新たなビジネスにつながるのではと感じれたため。
- 味覚を通じてマズローの欲求に応じた消費者ターゲットの設定など普遍的なテーマがあった。
- 普段感じている味わいと味覚は違うということを具体的に学ぶことができてよかったです。マグロやワインの実験はとても興味深く、私たちの「おいしい」という感覚は実にあいまいなものなのだということを知るとともに、それを逆手に取った応用を考えることは面白そうだと思いました。
- 嗅覚と味覚を合わせることで、満足度を下げずに健康な食事を行える可能性を見いだせたため。
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