若年世代の投票率、1%低下で年7.8万円の損?吉田 浩 教授が試算

投票に行かないと目に見えない損失が発生 若年世代の投票の重要性

SAカレッジの講師で、経済学研究科 高齢経済社会研究センター、スマート・エイジング学際重点研究センター 加齢経済社会研究部門長の吉田 浩(よしだ ひろし)教授の記事が、第26回参院選の特集として毎日新聞に掲載されました。以下はその内容です。

若い世代の投票率が1%下がると、年間約7万8000円損をする――。世代間の経済的公平について研究する東北大の吉田浩教授(加齢経済学)が、国政選挙の投票率と若年世代の負担について、このような試算をまとめた。投票に行かないのは、なぜ損なのか? 10日に迫った参院選の投開票を前に、吉田教授に話を聞いた。

吉田教授はまず、過去40年ほどの国政選挙における「50歳以上(高齢世代)」と「49歳以下(若年世代)」の投票率を比較。両世代の投票率の差は年々大きくなる一方、国債(国の借金)の新規発行額は増加傾向にあることが分かった。

その上で吉田教授は、政府が財源を賄うため増税か国債発行を選ぶ際、「若年世代の投票率が低いと将来世代の負担となる国債発行が選択される」という仮説を立て、投票率と国債の新規発行額の関係を分析した。

その結果、若年世代の投票率が1%下がると、1人当たり約3万1590円分の国債が新たに発行され、若年世代の負担が増すという結果が得られた。投票率が低下しなくても、財政支出の増加に伴って国債発行は毎年約1万5890円分増えることから、合計約4万7480円分の「負担増」と試算された。

さらに、投票率と社会保障給付の関係についても分析。年金など高齢世代へ配分される支出と、児童手当など若者世代へ配分される支出の「差」を調べたところ、若年世代の投票率が1%下がると、若年世代向けの支出と高齢者向け支出の差は約3万72円拡大した。

この合計により、若年世代の投票率が1%下がると、この世代は年間約7万7552円の損をすると結論づけた。

吉田教授は「国債を大量に発行しても、その償還には長い時間がかかるので、返済のための負担全てが今の高齢者に割り当てられるわけではない。また、増税と違って若年世代への負担感も見えにくい。投票に行かないと目に見えない損失が発生することを伝えたかった」と研究の狙いを語る。

その上で「政治家にとって、投票率が高い高齢者は集票の対象として重みがある『お得意様』。逆に投票率の低い若年世代は、たまにしか来ないお客さんなので重みが小さい。そうすると、どうしても高齢者に受ける政策が優先されてしまう」とも指摘し、若年世代の投票の重要性を説いた。

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