SAC東京5期コースⅠ第9回月例会 事務局レポート
脳内の「報酬系」「罰系」は消費行動にどう影響するか
脳内の「報酬系」「罰系」は消費行動にどう影響するかをテーマに大学院生命科学研究科 筒井健一郎教授のご登壇です。
脳・神経系の基礎知識
脳の解剖図の説明から講義は始まりました。神経細胞の神経回路は電気回路に似ていると、難しく感じがちな脳の話を身近なものにしてくれます。神経細胞には、興奮性・抑制性の2種類があり、放出する神経伝達物質の違いによって決定します。
神経伝達物質
グルタミン作動性ニューロンは興奮性の神経伝達物質、グルタミン酸で作動し、GABA作動性ニューロンは抑制性の神経伝達物質、ガンマアミノ酪酸(GABA)で作動します。
モノアミン系ニューロン(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)
モノアミンは脳内の特定の部位で合成され、モノアミンニューロンの働きにより脳内に広く届けられます。情報伝達において「調整的」な役割を果たしており、気分・情動・注意・睡眠・覚醒などに関わります。
脳の「報酬系」とドーパミン
マウスの頭蓋内自己刺激実験で、ドーパミン放出の原理が知られるようになりました。依存性薬物の多くはドーパミンの放出を促すように作用します。麻薬・覚醒剤が代表ですが、アルコールやタバコもかなり依存性が強いことがわかっています。
「やる気」「元気」を生み出すドーパミンニューロンが活性化し、脳内にドーパミンが放出されるポイント
- 不確実な嬉しい出来事を期待しているとき
- 予期していなかった嬉しい出来事が起きたとき
- 嬉しい出来事が確実に起きると予想されたとき
脳内のドーパミンを増やすには
- 達成型の生活
- 「予期しない嬉しいこと」を与え合うことができる人間関係
だそうです。数日後の達成が楽しみになるようにし、助け合いや挨拶で良い循環を作ることならすぐにできますね。
脳の「罰系」とセロトニン
恐怖や不快情動に関係する扁桃体がネガティヴ学習をするようです。脳機能イメージング研究により、うつ病は報酬系・罰系の神経ネットワークの不調によるものであることが示唆されています。現在のところ、うつ病の主な治療法はセロトニンの脳内濃度を上げる薬SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)の服用です。
セロトニンの機能
- 体温の調整、摂食行動の調節、覚醒水準の調整(上昇)など、様々な整体機能を調整
- 情動に関しては、不安を抑制し、負の記憶が過剰に計背押されてしまうことを抑制する
日常生活において脳内セロトニンを増やすには
- 規則的な生活、早寝早起き
- 太陽にあたる(外出する)
- よく噛んで食べる
- リズミカルな運動 (散歩、ジョギング、座禅など)
これで良くなるのでしたらやったほうが良いことが分かります。
脳と社会行動
日常生活において脳内のオキシトシンを増やすには
- ふれあい(スキンシップ、声かけなど)
- 協力・信頼関係の構築
安易にできそうですが、苦手な人が増えているように感じます。
日常生活におけるちょっとした心がけや習慣が、脳の健康を保ち、元気なこころを持って生活することにつながるという事例をたくさん紹介してくれました。
グループトーク後の質疑(一部を抜粋)
〔グループ質疑〕
Q1.年齢や状態の変化はどこまでわかっていますか?
Q2.ワクワクの度合いの個人差はどのように計測するの?
Q3.国籍・性別での差は?
Q4.ビジネス事例を教えてください
Q5.富裕層シニアの神経行動学をもっと教えて
これらの質問に丁寧にコメントを返してくれる筒井教授でした。
脳科学的に様々なコンテンツを整理することが必要であることを共有して月例会は終了しました。
以上
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(文責:SAC東京事務局)
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