SAC東京5期コースⅡ第7回月例会 参加者の声
10月24日、SAC東京コースⅡ第7回月例会 参加者の声
講師は、東北大学大学院文学研究科の坂井信之教授。講義テーマは「消費者はどのようにしておいしさを感じているのか?」でした。
「おいしい食品」というコンセプトで商品を開発しても、消費者はそのように受け取ってくれるとは限らないという経験はありませんか?商品の設計意図と異なる受け取り方をされて予想以上に売れてしまった。しかし、原因がわからない、という経験もあるかもしれません。
今回は、これらの見込み違いについて、心理学や脳科学の観点から解説いただきました。
結論は「人はおいしさを舌で味わっているわけではない」「食品自体においしさが含まれているのではない」ということになります。消費者は商品の何に注目して購入を決定するのかも考察します。どのようにその商品を評価するのか。さらに、その商品に対する印象をどのように形成し、次の商品購入の基礎情報とするのか、などについても説明いただきました。
これらの知識は、食品に限らず、日用品やサービスにも適用でき、宣伝広告やマーケティング戦略の計画立案にも適用できるでしょう。心理学・認知神経科学に基づき、身近な話題で、購買行動に関して興味深い話を拝聴できる絶好の機会となりました。
参加された皆様からいただいたご意見やご感想を掲載します。
ご意見・ご感想(抜粋)
講義が参考になった理由は?
- 味覚についての理解が深まった 〇欲求と感覚の関係 〇5基本味と好嫌の関係 〇ブランドとおいしさについて 〇ヒューリスティック思考
- 味付け・栄養素・盛り付けも重要であるが、日々のコミュニケーションで変化を与えることができるなど味覚は記憶、印象で感じ方が変わることが印象に残りました。今回の講義で味覚にとどまらず、五感で感じる感覚が記憶・印象が影響力が大きいことを改めて理解することができた
- 味覚が独立した感覚でなく記憶や視覚や聴覚の影響をかなり受けていることが分かったから。
- 事業への応用が可能なように、要点をわかりやすくご教示頂いたため。
- 味が舌よりも、視覚、臭覚、記憶により制御されている点が大変興味深く、食におけるブランディング、プロモーションの在り方の参考になりました。
- 視覚による味覚の変化、聴覚による味覚の変化が、高齢者への食事提供に役立つと感じました。
- 先駆的介護の分科会にて、介護施設におけるにおいについて検討しているところでした。
- 最新の研究についてお話いただけた点
- 美味しさは、味覚ではなく、視覚でほぼ決まることは知っていましたが、臭覚(香り)を意識していませんでした。坂井教授の実験で、同じ水でも、香りをつけるだけで、脳に与える影響とともに、味覚が変化することを知りました。視覚ばかり、意識して、集団給食提供時(特養まごころの杜)に見た目のバランス、彩り、盛り付け方を注意しながら、取り組んできましたが、今後は、香りにも注目し、おいしく食べてもらえる工夫が必要だということに気づかされました。人は、育った環境、文化、後天的学習により、脳が記憶し、嗜好が決定されますが、高齢者は、特に、自身の記憶にないもの(新しい食べ物)に強い拒否反応を示します。高齢者にとって、新たな食材の学習は受け入れが難しいが、香りで、懐かしさの記憶を脳に認識することができれば、視覚で拒否されても、臭覚でおいしさを認識し、「おいしい」と食べてもらえるのではないかと、考えさせられた講義でした。今後、視覚だけでなく、香りについても、取り組んでいきたいと思います。
- 味覚に関しての興味深い講義であった。
- データの解釈方法が難しいTDSのデータ説明をお聞きすることができた点や、ビール会社の事例など、ビジネスとの関わりに触れて頂いた点が参考になりました。
- 舌は食に関する味覚が大きな役割だと思っていましたが、基礎医学としては「こねる」「しゃべる」が主な役割とのことでした。誤った記憶にある舌地図も誤ったことだということもわかりました。
高齢期のみならず、全世代において「美味」とは脳がだませれたことの結果であり、今日のテーマである「消費者がどのようにしておいしさを感じているのか」に立ち返ると、商品提供をする供給者は人物(ヒト)に注力しモノづくりを考えなければならないか、が重要となることが理解できました。今後まちづくりや商業施設、シニア住宅においても、参考にさせていただきたいと感じました。 - 人が何かを感じるときに、その人の記憶が大きくかかわっていることが分かりました。今後商品開発を行う上で、イメージ戦略が重要であることがわかりとてもよかったです。
- なじみのある味覚について、これまでと違った事実を講義していただき、自分の理解の間違っていた点や、発展のアイデアなどについて刺激を受けました。脳の機能がおいしさに密接に関連しているということと、また逆に味覚が脳機能に影響を与えると言う点を今後の活動に活かしたいです。
- 味覚を左右するのは匂いだということは聞いていましたが、原体験に基づくものであったり、視覚からくる思い込み?だったり、単純に科学物質による味蕾細胞での検知だけではないことを学ぶことができました。今回は「味覚」ですが、人間の五感全てに応用できる考え方ではないかと思いました。
- 特別養護老人ホームの施設長をしております。認知症の方が多い施設で、食と認知症の関係について興味がありました。とくに、においは、五感の中で、強く記憶に残ることは、とても参考になりました。
- 自社業界(保険業)には直接的な影響はないものの味覚と触覚、嗅覚や過去体験が密接につながっていることは非常に興味深い講義でした。
- おいしさの考え方が180度かわりました。
- 舌の位置で感じる味は変わらないとか、妊娠後期から授乳中の母親の飲食したものが赤ちゃんの好みに影響するという話は非常に興味深かったが、弊社ビジネスへの応用が思いつかなかったため。
- 匂いや味と認知症や健康との関連について興味をもって調べていたことろだったので、タイムリーで、とても吸収できました。
- おいしさが、味覚情報だけではないということが改めて実感できたと同時に、新しい可能性を見つけたような気がします。
- 味覚の仕組みについて、嗅覚や視覚が味覚に与える影響等について、脳科学的な視点から科学的な研究データをお示しいただきまして、味覚の存在意義や、舌の存在意義等について改めて考えさせられる機会となり、非常に参考になりました。
- 「おいしいものはない」・「舌地図」は誤りである、など、思い込みや誤解を丁寧に解きほぐしていただいたと思います。味そのものよりも、ファーストコンタクト時の体験を重視して長期的なブランド構築を図る必要性など、「おいしさ」とは無縁の業界の人間であっても、非常に興味深くお聞きすることが出来ました。
アイスブレイクが有用だった理由は?
- 講義内容の整理と深堀につながった
- いつもながらよく理解ができるようになるから。
- 話の内容がより一層理解できたため。
- ご講演が分かりやすかったため、重要なポイントのリマインドという観点で有用でした。
- 妊娠中、授乳中の食物摂取を応用したビジネスについて考えるきっかけとなりました。
- 私の持っていない観点での質問が出ていたので
- 講義内容に関する理解が深まったため
- 特に、初回参加者にとっては、グループワークの前にアイスブレイクを入れることで、緊張感がとれ、これから、どのような形で、話しあっていけばいいか参考になった。又、話し合う内容を考えることができた。
- いつも同じ回答ですが、一見とっつきにくいテーマをブレイクダウンして下さるので。
- リフレッシュできたと思います。
- 毎回記載していることだが、村田先生のブレイクは毎回頭の中が整理できるきっかけとなりとても有用である。「イベントの記憶と相まると、味もおいしいと定着する」観点は、弊社が街や商業施設などで展開するイベントでの記憶に置き換えると、同じことが言えるのではないだろうか。(その街や商業施設に良いイメージが定着する)
- 要点をわかりやすく整理してくださったので、その後の質問を考えるうえで非常に参考になりました。
- 受講者側の理解がしにくそうなポイントについて、講義内容の理解を深める質問をしていたえだけるため。
- 新しい情報を完結にまとめて頂いたのも大変よかったのですが、原体験の影響を指摘して下さったことは、理解を深める上で大きかったです。
- メンバーからの質問が次から次へと出てきたので、勉強になりました。
- 毎回のことながらそのあとの質問が出しやすいような目安となるような質問を出していただきありがとうございます。本編で割愛された妊婦さんのキャロットジュースの話は聞けて良かったです。
- 考え方が整理できて、有効かと考えます。もう一度振り返ることができて復習にもなります。
- 講義では割愛されたP50の説明をお願いしてもらえたため。
- グループトークの前に、頭を整理することができました。
- 刺身の色を変えた際の味覚の感じ方の違いについて、赤身が生臭く感じるきっかけ等ご質問頂いたおかげで、味覚と記憶の関係について整理できたので参考になりました。
- 妊娠後期に人参ジュースを飲むと・・・、というお話を追加で聞けたのは、非常に理解が深まった気がします。
グループトーク、グループ質疑が有用だった理由は?
- 自分とは別の視点があることを実感できた
- 数回参加していることもあり受け身でなく積極的な意見を交わすことができたため
- 異業種の方々の関心ポイントが分かるから。
- 他社の考え方もりかいできたため。
- 対象者(女子大生VS高齢者など)が違うと味の好みの基準が異なることに注意が必要であることにも気づきました。
- 他グループが質問された、舌の役割についてが興味深かったです。
- 今回は初回参加が半数のグループであり、あまり面白い質問がないかと思いきや、老人介護施設の現場の管理栄養士からの実感を伴った面白い質問が出てきたやはりグループトークはメンバーに大きく左右される。肉体のストレス閾値、精神のストレス閾値が、災害食の味つけに関連することなど、先生の回答の広がりも大変面白かった。
- 業界・業種の異なる方の、様々な角度からの質問は視野を広げる上で大変参考になった
- それぞれ違う職種の方の考え方、疑問に思う点もそれぞれ違いがあり色々な視点から、話を聞き、考えるきっかけになった。
- グループでは同じ保険業界の方が多く、ビジネスに活かす可能性を意見交換出来たので。
- 業界の異なる方の率直な意見、質問をお聞きすることができ、新鮮に感じました。例えば、食から精神状態を推測することができるのか?など。
- 異業種とのグループトークは毎回刺激を受ける。
- 現在の仕事の困りごと解決のような、具体的な質問からメカニズムに関する内容まで、様々な質問がでました。同じ内容の講義を色々な感じ方があることを身をもって認識できました。
- どうしても質問をするための調整になりがちで、議論というよりはトピック出しになってしまいます。一方で、各Gの色々な質問に対して回答いただくことで、新しい視点や知見を得られるよさがあります。
- グループトークでは介護施設での重要課題であることを実際に聞くことができて勉強になりました。普段あまり気にすることがなかった匂いに関する捉え方等、トークリーダーからの質疑で伺い知ることができました。
- 他のグループの質問の中にも意外性があったので、興味深かったです。
- たまたま同業種の方も多かったこともありとてもよい意見交換ができました。
- 今回は視点の異なる質問が多かったように感じます。ありがとうございました。
- 視覚・聴覚よりも嗅覚の方が色あせにくいという話が参考になったから。
- 聞きたかった、香りと脳の活性化について、グループ内でも皆さん興味を持ってくれ、質問内容にも深みが出てきました。
- グループ別質疑に対して、先生が1つ1つ丁寧にお答えいただいたので、今回の内容を十分自分の中に落とし込むことが出来ました。自身の日常に大きく関わる内容のテーマでしたので、消費者目線、企業目線で色々と考えさせられることがあり、充実した内容になりました。
- 実際に介護施設などで高齢者と距離の近い方が疑問に思う点などが、やはり自分と違う部分が多くあると感じ、大変勉強になります。
タグ:ヒューリスティック思考, 味覚, 坂井信之, 応用心理学, 特殊内臓感覚
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