SAC東京5期コースⅡ第6回月例会 事務局レポート

シニア市場とスマート・エイジング・ビジネス②〜日常消費以外にどんな消費の可能性

東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター企画開発部門長の村田裕之特任教授が今期二度目の登壇です。テーマは「シニア市場とスマート・エイジング・ビジネス②〜日常消費以外にどんな消費の可能性があるのか〜」です。

コースⅠ第3回(6月27日)の振り返り

1.シニア市場の特徴とは?
2.シニアの消費行動はいかにして起きるか?
3.いかにしてビジネスチャンスを見つけるか?
4.スマート・エイジング・ビジネスとは?

本日の内容

1.なぜ、中高年は「コト消費」に向かうのか?
2.世代特有の嗜好性は、消費行動にどのような影響を及ぼすか?
3.60歳代に増える「解放型消費」とは?
4.「コト消費」を応用したスマート・エイジング・ビジネスとは?

シニアの消費行動に影響を及ぼす「5つの変化」

1.加齢による身体の変化
2.本人のライフステージの変化
3.家族のライフステージの変化
4.世代特有の嗜好性とその変化
5.時代性の変化(流行・生活環境)

前回の振り返りから今回のポイントを「?」で参加者に投げかけました。他の年齢層に比べて「変化の要因」が多いシニアです。シニアの消費行動に影響を及ぼす「5つの変化」のうち、4.の世代特有の嗜好性とその変化を中心に講義が進みました。

シニアの3大不安は20年間変わらない

老後の日常生活への不安調査において、健康不安、経済不安、孤独不安のトップ3は20年間変わらないそうです。将来不安がシニア消費の阻害要因であることはわかります。一方、旅行支出はシニア層が一番多いこともデータで示されました。

コト消費(時間消費)

中高年の成熟経済では、モノの満足より心の満足を求める傾向が分かりました。体験を好み、その時間が持てるようになります。周りの中高年を見回してもモノ消費が減ることは頷けます。その状況は、脳の変化・心理の変化が原因のようです。

世代特有の嗜好性の多くは、20歳頃までの文化体験(世代原体験)で形成される

大正世代、昭和一桁世代、焼け跡世代、団塊の世代、ポスト団塊の世代と、対象年齢・時代背景などを理解していきました。その上で村田先生は、40歳代を過ぎると、なぜ「ノスタルジー消費」が現れやすくなるのか?を参加者に問いかけました。

「世代原体験」とは、特定の世代が20歳頃までに共通に体験する文化です。世代特有の嗜好性の多くは、この「世代原体験」で形成されます。理由は、脳の発達が20歳頃までであることと考えられます。

「ノスタルジー消費」が現れる背景

20歳代は初めての体験が多く、ワクワクドキドキすることがたくさんあります。40歳代を過ぎる頃は結婚なども理由となって生活は平凡化し,明日の生活も予想しやすくなります。安定はしますが、ワクワクする機会が減ることで、ドーパミンが欲しくなるのです。脳機能が衰えるため、ワーキングメモリが減退し、昔馴染んだモノへ向かうのだそうです。

50歳代の「自己復活消費」「夢実現消費」、60歳代の「解放型消費」

たくさんの事例で講義は進んでいきます。年齢・世代における傾向に頷く参加者たちですが、人によるとも感じます。同じ年代でも若い人のように新しいことに興味が持てる人と持てない人の違いも脳の機能の加齢変化の個人差ということなのです。

まとめ

脳科学・認知神経科学の切り口でシニアの消費行動を見ると次のシニアビジネスのヒントが得られることがわかりました。

パネルトーク・講師への質問


今回は3名の代表者と講師によるパネルトークです。会場も巻き込み、講師からたくさんのコメントをいただける時間です。講義で理解しきれなかったことはもちろん、ビジネスのヒントまで引き出す参加者たちでした。

「ビジネスの基本はニッチに目を向けること」というアドバイスには大きく頷く参加者たちでした。「傾向としては未来を考える人(バックキャスト型の人)が増えていると思います」など、先生の考え方も引き出していきました。
(以下、質問のみ記載)

Q1.地方都市のシニアマーケットについて教えて
Q2.モノ消費からコト消費へ、今後新しい消費が生まれますか?
Q3.2025年、団塊の世代の人がどんな消費へ進むのか?
Q4.未来を考えさせる社会の仕組みはあるか?
Q5.生き様で将来を予測できるのか??
Q6.脳トレアンケート調査の見方を教えて
Q7.人の役に立つことにお金を使うとは?
Q8.20歳までの「世代原体験」で作られることをもう少し教えて
Q9.農村部でカーブスを成功させる方法は?
Q10.高齢者の持ち金をうまく循環させる例は?
Q11.パッケージ旅行が多いが、これからは個別か?
Q12.口腔ケア診断アドバイスを付加するサービスは?
Q13.未来をどのように見据えていますか?
Q14.お金を稼ぐ高齢者の気持ちについてはいかがですか?

以上

(文責:SAC東京事務局)

あわせて読みたい関連記事

サブコンテンツ

このページの先頭へ