SAC東京4期 AコースⅡ第3回月例会 事務局レポート

機能性食品、とくに抗酸化食品を考える

6月21日(木)開催のコースⅡ第3回月例会の事務局レポートです。

SAC東京初登壇の仲川清隆教授は、農学研究科・応用生物化学科長です。食品科学を専門とする仲川先生は、食品や生体における「酸化」の評価の第一人者です。

「キャンパスは見晴らしが良く、熊もいます」と参加者を笑いで惹きつけた上で、食品、酸化、病気などにおけるスマート・エイジングに関連するものを、私なりの捉え方でお話ししますと講義が開始されました。

生活習慣と寿命

生活習慣による寿命への影響(特に男性)をクイズ形式で考えていきました。大手食品メーカーも使う資料のようです。3位は心疾患、2,100日寿命が縮むそうです。2位はタバコ、2,250日寿命が縮むそうです。そして1位は独身、3,500日寿命が縮むそうです。答えを聞いて会場から悲鳴と苦笑いがおきました。言われてみれば心当たりのある独身生活です。

ビタミンC(アスコルビン酸)

化学構造では無色であり、水に溶かしても無色のビタミンCですが、黄色にしたら売れたそうです。確かにビタミンCの飲料は黄色が主流です。天然をうたいながら黄色を求める消費者の心理を突いてきました。

加齢と老化の違い

加齢は歳を重ねることであり止められません。老化は生化学的なことであり、コントロールすることもできます。アンチ・エイジングが老化を止める(戻す)ことであれば、「アンチ老化(senescence)の方がしっくりきますね」と、言葉の定義の大切さを示しました。

ビタミンCを合成できないマウスの死因は?ニンジンはなぜオレンジ色か?赤いニンジンとどう違うのか?色素成分のうち健康に役立つとされている成分は何でしょう?と、参加者に問う形で講義は進んでいきました。

単位は大切

オリンピックなどのドーピング検査が厳しくなったように感じますが、小さいモノが測れるようになったからです。「g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)など、どこまで知っていますか?」と、単位について考えます。モノを測ることの大切さを学びました。

健康に役立つとされる成分の吸収率は?油の吸収率は?この大切なことが消費者に伝わっていないことが問題提起されました。摂取したモノの吸収率まで考えている人が少ないことに、商品開発のヒントを得た参加者もいたようです。

人の老化と栄養に関する研究で有名なボストンの大学に留学していた時の研究も紹介されました。栄養学はアメリカでは医学の領域で、日本では農学の領域です。国によっての違いも興味深いものでした。

出量分析装置はモノの分子量が測れます。このテクニックを使って酸化反応の種類が見分けられるようになったそうです。

酸化

油(脂質)の研究をする仲川先生です。錆びた釘が測れ、錆びる経緯もわかるのです。どう酸化して行くのか?どう病気になるのか?が分かると、それに対する抗酸化物質での予防が可能になりそうです。仲川先生の考える体の中の酸化と食品の酸化の違いも示されました。ネイチャー系の論文にも掲載されているそうです。

光による酸化の影響

蛍光灯の光によっても皮膚の脂質は酸化されているそうです。日焼けは酸化反応の一種なのです。会場の光程度でも食品に影響を与えていることも学びました。光由来の酸化を抑制するのはビタミンEよりカロティノイドであることや、やみくもに使っても意味がないという話に大きく頷く参加者たちでした。

世界では栄養飢餓が問題視されています。機能性食品だけでなく、福祉ともつながって欲しいという企業への期待を受け止めながら、世界の流れを感じ取る60分間でした。

【アイスブレイク・タイム】

村田特任教授が講義中の分かりにくい点の確認や、ビジネス面について代表質問していきました。

生活習慣と寿命に関して、寿命が短くなるメカニズムを深掘りします。原因に多い自殺を防ぐためにも、食生活の改善が大きな課題となることを再認識しました。

ビタミンC飲料になぜ色をつけるのか?の答えは、プロデュース、ユーザー満足のためのようです。ビタミンCが入っていることを主張したくない時は、無色のまま使います。

酸化ストレスは酸化還元のバランスが壊れた状態ですが、酸化が悪いということではないのです。どういう酸化ストレスであるかを証明して、それに役立つ抗酸化物質を使うことで効果が出せることなどが分かりました。

【パネルトーク】

参加者代表の3社の皆さんと会場からは、次のような質問がありました。

Q1.赤ワインのポリフェノールは体内でどう働くのか?
Q2.サプリや水素水の効果は?
Q3.酸化した脂質は積み重なって老化するのか?
Q4.ストレスで体内酸化するのか?
Q5.局部的に個人の酸化度がわかるようになるのか?
Q6.予防効果の証明を定量化できないか?
Q7.酸化の種類判別で複合的要素もわかるのか?
Q8.測り方による誤測の注意点は?
Q9.日本でのサプリはどうか?
Q10.光の種類で酸化ダメージは変わるのか?
Q11.ナトリウム、カリウム、どこまでわかっているの?
Q12.酸化物は体内へ吸収し難いのか?
Q13.アプリでのカロリー計算のように酸化もわかるのか?

抗酸化食品は多様なために語るのが難しい、とコメントする仲川先生です。また、食品すべてに機能があるため、機能性食品という定義自体がナンセンスであるとも説明が加わります。その中の機能の一つに抗酸化があるのです。「味わいも機能である」と言われて納得する参加者も多い様子でした。

食品にとっては安全が第一であり、効くことよりも安全性をあげることが大前提です。トクホ(特定保健用食品)に対する話も納得でした。

新しいことが少しずつ分かってきました。産学連携につなげて下さいと、企業へのエールで締めくくりました。

http://www.sairct.idac.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2018/06/blog180621sac2-3-10-e1530247524604.jpg

【総括】

小川事務局長は、最新情報であればあるほどディスカッションが難しく、組織の中でも情報が共有できていないと振り返りました。

見えなかった脳活動が見えるようになり、測れなかったモノが測れるようになってきました。これを応用していくためには定義が大切であり、仮説を持って進めて行くためにSAC東京の活動で協調していきましょうと企業への期待で終了しました。

(文責 SAC東京事務局)

過去のSAC東京月例会 事務局レポートはこちら
過去のSAC東京月例会 参加者の声はこちら

あわせて読みたい関連記事

サブコンテンツ

このページの先頭へ