SAC東京4期 AコースⅠ第3回月例会 事務局レポート

人口高齢化の経済・社会に及ぼす影響

6月21日(木)開催のコースⅠ第3回月例会講義の事務局レポートです。

講師は経済学研究科、加齢経済学・高齢経済社会研究センター、スマート・エイジング学際重点研究センター 加齢経済社会研究部門長である吉田浩教授、講義テーマは「人口高齢化の経済・社会に及ぼす影響」です。

講義は以下の3点に区分して行われました。

  1. 人口の高齢化〜高齢社会の基礎知識
  2. 高齢化のマクロ経済への影響経済〜全体からの視点
  3. 高齢社会政策〜社会保障政策と高齢化、年金、介護

「高齢化」とは人口に占める高齢者の比率が高くなるという極めて人口学的な現象です。吉田教授は「少子高齢化」に言い換えて、社会、経済に及ぼす影響を実証的に研究しています。

まずは「どこの国でも文明が発達すれば長寿・少子化する、日本だけが大騒ぎすることか?」など7つの質問を参加者へ投げかけました。さらに世界各国々の出生率家族政策が示され、日本の特殊事情や地域格差を紐解いていきました。

高齢化した都道府県が多く人口流出が特徴的な東北地区は「フィールドであり、マーケットである」という吉田教授の言葉が重く響きました。

マクロ経済への影響は「労働力不足」問題です。しかし、モノからサービスへシフトしてきた社会では女性や高齢者の社会進出が日本の運命を握っています。ロボットの活用で生産性の低下を補うことも重要なポイントです。

高齢社会における社会保障は190兆円と推定されています。吉田教授は家族介護から公的介護保険の利用によって「交換の利益」を生み出すことが必要だと説いていきました。

これらの産業構造変化は政府による経済への規制や許認可が不要となり、高齢者を主要な消費者として位置付け、商品、サービス開発を行うことがポイントであると締めくくって講義は終了しました。

参加者は少子化対策がいかに重要であるかを理解しつつ、出生率の向上など少子化対策そのものは重要ではないことも分かってきたようです。高齢者や女性の活用、介護の担い手、日本の文化、地域格差など質疑も多岐に渡りました。

吉田教授による経済の視点からの回答によって、さらに参加者は「人口高齢化と経済・社会への影響」の理解を深めたようです。

村田特任教授のアイスブレイクによって「交換経済」の重要性が再確認されました。公的な介護保険だけではない任意な交換によって高度な専門性を交換し、利用し合う、そこにスマート・エイジング・ビジネスの可能性がありそうです。

(文責:SAC東京事務局)

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