SAC東京第11回月例会 事務局レポート
2月25日開催 SAC東京第11回月例会 事務局レポート
「脳の健康、心の元気」
東北大学大学院生命科学研究科情報処理分野 筒井健一郎准教授
第11回月例会は大学院生命科学研究科情報処理分野の筒井健一郎准教授による、テーマ「脳の健康、心の元気」の講義です。最近、各分野で取り上げられることが増えてきた脳の「報酬系」と「罰系」の基礎研究はどうなっているのか、とても興味深いテーマです。
冒頭、筒井准教授は「結論めいたことをお話ししますが」と切り出しました。世間で良いと言われてきたことが、研究によって良いということが証明できるようになったということでした。
何となく「これは気持ちが良い」、「こんな時には元気が出てくる」、「こんなことを言われるとやる気が無くなる」ということが脳の働きの研究によって見えてきたということです。研究によって新しいことが発見されるだけではなく、これまでの常識や感覚が研究によって解明されるのです。
脳・神経系の基礎知識
これまでも川島隆太教授や瀧靖之教授らの講義によって脳の仕組みを学んできました。脳機能は多様で複雑です。一度や二度の講義で理解ができるものではありません。もう一度、異なる視点から脳はどうなっているか、理解を再整理してみる機会を得て、何度でも専門性の異なる研究者の講義から直接学ぶ重要性と価値を感じました。
ミクロから
まずはミクロの話から入ります。今日の神経科学の基礎である「ニューロン説」を提唱したのは脳の探求者ラモニ・カハルです。脳には1,000億個程度の神経細胞があり、この神経細胞(ニューロン)どうしが神経回路をつくっています。神経回路に電気的な興奮が伝わることによって脳・神経の機能が発揮されます。これは高次な機能です。例えば人同士が行っている挨拶のプロセスにも高次な神経回路の働きが作用しています。
神経細胞内では電気的に、神経細胞間では科学的な情報伝達が行われています。神経細胞と神経細胞の間を「シナプス」と言います。軸索終末から放出された神経伝達物質は、もう一方の神経細胞の細胞体にある「受容体」に伝達します。この受容体は「鍵穴」のようで、特定の神経伝達物質を「鍵」として必ず一つの物質にしか対応しません。シナプスという構造を持ち、様々な神経伝達物質による情報伝達という仕組みを持つことで、複雑な情報処理ができるようになっています。
神経伝達物質には、グルタミン酸などの「興奮系」、GABA(γ-アミノ酪酸)などのような「抑制系」、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどのような「調節系」があります。脳内でこれらが互いにバランスを取りながら様々な情報処理をしているのです。
マクロから
次はマクロな脳の基本的機能を学んでいきます。大脳は高度な精神活動の中枢であり、記憶・言語などの高度な精神活動を司ります。
間脳は本能行動である熱い、寒いなどを視床下部で司っています。中脳は眼球運動などの反射や姿勢反射、小脳は随意運動の調節を司り、ここが損傷すると地味な運動ができなくなり酒に酔ったようにふらふらとした歩行になることがあります。延髄は呼吸・心拍、嚥下反射など生命維持に不可欠な機能を担っています。
アメリカの脳科学者Paul MacLeanが提唱した脳の階層性も学んでいきました。哺乳類動物から爬虫類まで共通に持っている反射・調節機能は基底核にあります。情動や本能行動を司る辺縁系がその周辺にあり、大脳皮質はその外側に発達してきたものです。それらをつなげるために神経系があります。
視覚や聴覚といった刺激は感覚器で受け、感覚系から脳のいろいろな部分に伝わり、運動系を通じて筋肉などの効果器の動作になります。たとえば、脊髄反射はわずか2つの神経細胞で成り立っており、反応がとても早いです。しかし、大脳皮質を通じた反応は高次であり、その反応経路は複雑になっています。
脳の「報酬系」とドーパミン
脳・神経系の基礎知識を学んだ後、講義は本題である脳の「報酬系」とドーパミンの話へ入って行きました。「嬉しい、悲しい、嫌だ」という感情が発生する仕組みを説明していきます。
筒井准教授はラットによる脳内自己刺激実験から説明していきました。レバーを押すと脳の内側前脳束に電流が流れるようにすると、ラットは頻繁にレバーを押すようになりました。この実験から内側前脳束の刺激は、軸索末端におけるドーパミンの放出を促すことが分かったのです。
それまでは単に「刺激すると気持ちが良い」という解釈だったそうです。しかし、その気持ち良さは内側前脳束に集まっているドーパミンニューロンがドーパミンの放出を促すためであることが解明されました。
しかし、コカイン、アンフェタミン、カンナビノイドなどの薬剤は依存性薬物です。最近話題になっている覚せい剤はメタアンフェタミンであり、戦後はヒロポンの名称で合法的に売られていました。ちなみに、これは日本の科学者が合成したものです。
ヘロインも頭が冴える、痛みを感じなくなると言われているものですが、薬物への依存性が高くなり、薬を入手するために社会的に悪いことをしてしまうことが起きてしまいます。
たばこ(ニコチン)、酒(エタノール)も決して依存性が軽いわけではないので注意が必要です。薬物を使わず、いかにしてドーパミンを放出させることができるのかが本講義のポイントです。
ドーパミンは快楽物質ではない
線条体は大脳基底核の主要な構成要素のひとつであり、多様な「報酬」に関係しています。同じく大脳基底核にある腹側被蓋野、黒質から伸びている神経系をドーパミン神経系と呼びます。昔はドーパミンは快楽物質だと言われてきましたが、研究が進んだ結果、現在では快楽物質ではなく、「やる気」「元気」や「求める気持ち」を生み出す役割があるというのが最新の解釈です。「気持ちがよい」といった「多幸感」に関係するのは脳内で合成されるオピオイド(エンドルフィンなど)です。
ドーパミンニューロンは動物が餌に手が触れた時に活動するという猿の実験結果も紹介されました。この実験を通してドーパミンの放出は、予期せぬ報酬や、報酬が確実に予告されたときに起こることが分かりました。すなわち予想通りの期待には反応しません。
時々報酬が得られる、それを待っているときにドーパミンの濃度は上がってきます。逆に等間隔で報酬が得られ予測しやすい時には上がりません。ランダムで予測しにくい時には上がります。
予期せぬ嬉しいことがあったとき、嬉しいことが確実に予想されるとき、不確実な嬉しい出来事を期待しているとき、これらをあらゆるシーンに応用することによって、新たなビジネスを創出できそうです。
ドーパミンを増やす日常生活への提言
筒井准教授から、脳内のドーパミンを増やす日常生活への提言です。
1.お互いに「予期しないこと」を与えあうことができる人間関係を築く
あいさつや思いやりからもできることがたくさんあります。
2.達成型の生活(明日、1週間後、1か月後、1年後が楽しみになるような生活)趣味、園芸やスポーツ、芸術も有効です。
脳の「罰系」とうつ
スクリーンに怖い写真を出した場合、扁桃体が反応します。すなわち、恐怖や不快情動に関係しているのが扁桃体です。リスクに対して敏感な領域です。
これはうつ病にも関係しています。現代は4人に1人は一生の中で一度はうつ病になると言われています。うつ病そのものは死亡原因ではありません。しかし自殺の原因となってしまうので人の死と密接につながっていると言えます。脳機能イメージングの研究によって、うつ病は報酬系・罰系の神経ネットワークの不調によるものであることが示唆されています。
セロトニン
うつ病の人では脳内のセロトニンの分泌が少なくなっていることが分かっています。現在のところ、うつ病の主な投薬療法は、セロトニンの脳内濃度を上げる薬SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)を服用することです。
セロトニンの機能は以下の通りです。
1. 体温の調節、摂食行動の調節、覚醒水準の調節(上昇)など、様々な生体機能を調節する役割を持っている。
2. 情動に関して、不安を抑制し、負の記憶が過剰に形成されてしまうことを抑制する。
例えば、学生に寝不足にして計算作業をさせると作業効率が悪くなります。そこでセロトニンを投与する少し改善するという実験結果もあるそうです。
セロトニンを増やす日常生活への提言
脳内のセロトニンを増やすための、筒井准教授からの日常生活への提言です。
1. 規則的な生活 早寝早起き
2. 太陽にあたる(外出する)
3. よく噛んで食べる
4. リズミカルな運動、意識的な呼吸
高齢者がよくかまなくても飲み込める流動食ばかり食べていると、うつになりやすいと言えます。
経頭蓋磁気刺激(TMS)とは頭蓋骨を開けずに脳に磁気刺激与える治療法です。原理はまだ不明な点が多いですが、左前頭前野背外側部を活性化することが扁桃体の過度な活動の抑制につながり、うつ病症状が軽くなると考えられています。
脳と社会行動
社会行動に関するのはオキシトシンという脳内物質です。平原ハタネズミと山岳ハタネズミの社会行動の違いをみる研究はとても興味深く思いました。一夫多婦で、父親は子育てをしない山岳ハタネズミと比較して、一夫一婦で協力して巣作りや子育てをする平原ハタネズミの脳には、多くのオキシトシン受容体があるそうです。
オキシトシンの分泌が多い動物はフレンドリーであり、フレンドリーな動物はオキシトシンが出やすいという性質があります。人間に対する、オキシトシン投与の実験により、他者への信頼感が増すことが示されました。自閉症の薬にも応用する研究も進められています。
脳内にオキシトシンを増やす日常生活への提言
1.ふれあい
スキンシップ、ボディタッチ、ハグ、声がけ・挨拶
2.協力・信頼関係を構築
「同じ釜の飯を食う」、仕事、スポーツ、ゲーム
全体のまとめ
筒井准教授による本講義のまとめです。
脳内の神経伝達物質は、神経系の機能を調節し、正常な機能の発現に必要不可欠な役割を持っています。ドーパミンは意欲や生きがい、セロトニンは恐怖や不安の軽減、意識の明晰化に関わっています。
さらに、信頼感や協力行動に、オキシトシンが関わっていることも明らかになってきました。日常生活におけるちょっとした心がけや習慣が、これらの機能の維持や促進に役立ちます。脳の健康を保ち、元気なこころを持って生活することにつながります。
脳内の神経伝達物質を薬物からとると薬物依存症となり、反社会行動にもなってしまいます。
あくまでドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの脳内の神経伝達物質を放出しやすい日常生活を整えることが重要であり、ここに健康寿命延伸ビジネスのヒントがあります。
【村田裕之特任教授による解題】
テーマ「報酬系・罰系の働きを理解するとシニアの消費行動が見えてくる」
今回の月例会の新たな試みです。村田特任教授が筒井准教授の講義をシニアビジネスの視点から解釈してみました。以下、村田特任教授の講義記録です。
行動経済学のダニエル・カーネマンは『経済は「感情」で動いている』と言っています。また神経経済学(ニューロン・エコノミクス)は人の行動原理を脳科学、認知科学で解明をしてみようとする試みで、行動経済学の一部門です。これらを前提に報酬系・罰系という切り口でシニアの消費行動をみるとシニアビジネスのヒントが得られると村田特任教授は解いていきます。村田特任教授が示すのは「ニューロ・シニアビジネス」という新たな視点です。
「不の解消」から「報酬創出」へ
シニアのストックリッチ、フロープアを再チェックしてみます。シニア層はいざという時のために多くのストックをもっているデータが示されました。これはなぜでしょうか。将来不安に備えるためです。それはどんな不安でしょうか。シニアの三大不安は「健康不安、経済不安、孤独不安」です。健康不安には病気や介護の問題も含まれています。お金をもっていても使えない理由がここにあるのです。これらのシニア消費の阻害要因を取り除いていかなければなりません。報酬系・罰系をうまくマネジメントすることができればシニアの行動意欲が増してきます。シニアビジネスの糸口は「不の解消」から「報酬創出」へシフトしていきます。
罰系のビジネス事例
まずは「不の解消」に関わる罰系の消費行動の事例が示されました。例えば不眠症(睡眠障害の一つ)です。中高年になると深く眠れなくなることを訴える人が増えてきます。これは、脳の松果体から分泌されるメラトニンが減ることによって起きる現象です。メラトニンは先ほどの講義で取り上げられたセロトニンからできています。セロトニンはトリプトファンからできています。これは必須アミノ酸であり食べ物から摂取しなければなりません。講義では早寝早起き、太陽に浴びるなどの行動がセロトニンの分泌を増やすとのことでしたが、食生活の工夫によってセロトニンは増やせるので、ここに新たなビジネスチャンスがありそうです。
次に、シニア向けサロン。うまくいかない理由を検証してみると広すぎる平場のラウンジが居心地の悪さの原因となっていました。これは罰系の話しに通じます。
うつ病は中高年が多い、特に女性に多い。その原因は一人暮らしの可能性を否めません。一方、男性は生きがいを感じていません。特に一人暮らしの男性はセロトニンを増やす活動が必要です。その活動事例として東北大学で行われてきた市民向けの「脳の健康教室」ビデオが披露されました。また極度のうつ病で高齢者住宅に入居した方が、他人のために役に立つ生活で改善した実例も紹介されました。
このように、罰系が絡むシニアの行動に対しては、講義で挙げられた以外のアプローチも症状改善に有効であることがわかっています。
報酬系のビジネス事例、達成型生活事例
次に報酬系に関わる事例です。「わくわく消費」事例としてJR九州の「ななつ星 in 九州」が紹介されました。高額の商品を購入してから旅行に出かけるまでの「嬉しいことが確実に予想できる」報酬系の実例です。
さらに達成型生活事例として紹介されたのは104歳の日野原重明さんです。5年先の予定を手帳に書き込む、これは「不確実なうれしい出来事を期待している」報酬系事例です。ハグが大好きな日野原先生にはたくさんのオキシトシンが放出されているのかもしれません。75歳でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんも、75歳でエベレスト登頂したすぐ後に「80歳でチョモランマ登頂」を目標に掲げました。まさに報酬系活用型の生活実践者です。
SAC東京参加企業であるコシダカさんの朝からカラオケを行う「朝カラ」と熟達度採点機「すきっと」も高得点を取るのが目標であり達成型生活へアプローチしている報酬系事業事例と言ってよいでしょう。同じくカーブスさんもひとり一人に目標設定を行い「3ヶ月後の自分が楽しみ」という「サーキット運動」がシニア女性のやる気を促し効果を上げています。
村田特任教授のまとめ
報酬系・罰系をうまくマネジメントできればシニアの行動意欲が増し、それは消費拡大につながります。シニアビジネスの基本は「不の解消」ですが、ビジネスの流れはさらに「報酬創出」へ向かっています。
さらに詳細は次回の村田特任教授による第12回月例会「超高齢社会をビジネスに変える秘訣」で学ぶことができます。
【個人質疑】
Q1. サルの電気刺激時間はどのくらいの長さか。
Q2. 脳の中でドーパミンを増やす物質を提供する客観的な指標はあるか。
Q3. オピオイドに関する実験はどうか
Q4. ひとつの神経細胞が多様な物質をだすのか、神経ごとに物質を出すのか
Q5. 感受性の年齢差 男女差はどうか。
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【グループトーク】
グループトークは以下のテーマで話し合って頂きました。
「今日の講義を聞いて、報酬系と罰系の視点からみた事業事例を話し合ってください」
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【グループ発表&講師コメント(レポートはグループ発表のみ記載)】
〈グループ4〉
営業管理に新しい仕組みやモチベーションアップ手法が見えてきた。
怒るより励ますことが大切。
〈グループ7〉
介護をうける利用者にも人生目標が重要。これは報酬系に繋がる。
ハグを使ってオキシトシンを放出する活動事例。経営側からの働きがけが重要。
〈グループ1〉
東北大学との共同研究は不の解消になることがわかり、ドーパミンが出た。
成果を出すと保険料が安くなる保険が面白い。
本人の満足と周りの迷惑、このコントロールやバランスも重要である。
サプリメントやノンアルコールビールにも報酬系、罰系の組み合せがあったら面白い。
ユニバーサルデザインは不便を改善するものであって、不便を意識しない。
〈グループ3〉
朝行われる牛乳配達はコミュニケーションが生まれにくいが、昼の配達は顔を合わせる機会を作りコミュニケーションが増え、継続購買につながっている。これも報酬系かも。
太陽光発電で節電や起電をする楽しみ。「眠る」をはかること、数値化も重要である。
〈グループ6〉
罰系例として老人ホームは家族の不安を解消する役割。眠れない人の話し相手はスタッフの役割か。
当たり付きに自動販売機は報酬系。当たる確率が分かること、分からないことはどうか。
〈グループ5〉
頻尿予防の漢方は効果が分かりにくい、期待される報酬として分かりづらい。
いずれ良いことがあるだろうという予防ビジネスは成立するか。
リピーターを集めることができること、継続性からみたらディズニーランドは報酬系か。
〈グループ2〉
ロングセラーは報酬系か。
シャワートイレ 海外にはなぜ普及しないか。トイレが書斎替わりになっている事例は広すぎると落ち着かない罰系を応用したもの。
原体験の影響はどうか。
以上でグループ発表は終了いたしました。
ひとつ一つの発表に明解な研究事例などを根拠にコメントする筒井准教授です。
さらに村田特任教授がシニアビジネスの視点からフォローしていきました。
いつも以上にディスカッションが弾んだようです。自分たちの日々の生活はもとより、各社の各事業について今日学んだ報酬系と罰系から整理していくと、その根拠付けができそうなこともわかってきました。
またグループトークや質疑内容を聞いていると、これまでのSAC東京月例会で学んできたことがどんどんつながってきたように感じているのは私だけではなさそうです。これからが本番かもしれません。新たなビジネス創出の予感が高まってきました。
予期せぬことが起きうるかもしれません。期待していたことが確実に予想される段階にたどり着こうとしています。不確実だったことが実現するかもしれません。どんどんドーパミンが放出されてきました。
またSAC東京参加者が挨拶を交わしあい、議論し合い、仲間意識が高揚し、各企業が協力しあうステージが整ってきました。これはオキシトシンが増えてきた証しです。
目標達成型の新たなビジネスを創出できそうな予感がします。
実はSAC東京、この活動そのものが報酬系なのです。
以上
(文責)SAC東京事務局
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